~二つの相反する感情~ 数日後、恵子は裕美とコンタクトを取り、二人きりで話し合いの場を設けた。 場所は、都心のシティーホテルの一室。 静かで、人目の少ない、密談には最適な場所だった。 ホテルの一室は、厚手のカーテンが光を遮り、外界の喧騒から隔絶されていた。 窓の外は、ビル群のシルエットが薄暮に溶け込み、どこか現実離れした雰囲気だった。 恵子と裕美は、アンティーク調の小さなテーブルを挟んで向かい合っていた。 テーブルの上には、温かい紅茶が湯気を立てている。 恵子は、少し緊張した面持ちで、切り出した。 その表 ...