新幹線を降り、東京駅の改札を抜けた俺は、まるで疲れ果てた船乗りが陸地にたどり着いたかのように、ふらつきながら歩いていた。スーツケースを引く腕は、もう限界だった。革靴が床に吸い付くように、重い足取りで改札へと向かう。都会の喧騒が、さらに俺の疲労感を増幅させる。頭の中には、早く家に帰って、温かいシャワーを浴びて、そのままベッドに倒れ込みたいという思いしかなかった。 その瞬間だった。 「康介さん!」 聞き慣れた、少しだけ弾んだ声が、俺の耳に飛び込んできた。その声は、混雑した駅構内のざわめきの中でも、俺の心に真っ ...