絡み合う糸 大山悠馬は、自身の才能を信じて疑わない男だった。 28歳にしてグラフィックデザイナーとして名を馳せ、手掛けたプロジェクトは常に話題を呼んだ。 だが、彼を突き動かす原動力は、単なる承認欲求ではなかった。 それは、世界を自らの手で支配したいという、抑えきれない傲慢な衝動だった。 彼の内に渦巻くその感情は、まるで漆黒の深淵のようで、一度足を踏み入れた者を決して逃がさない。 「悠馬、これ、本当にこの色でいくの?」 隣で不安げに画面を覗き込むのは、坂井菜々、26歳。 彼女はファッションデザイナーとしての ...