「林田梓さん、ですよね?」 声とともに振り返った彼女は、メッセージのやり取りから想像していた以上に、洗練された雰囲気を纏っていた。34歳。ファッションバイヤーという肩書きが、その佇まいの全てを物語っているかのようだ。 俺、宮田悠斗、26歳。アパレル企画の仕事柄、流行の最先端に触れる機会は多いけれど、目の前の彼女からは一歩も二歩も先を行くオーラを感じた。 きっかけは、何気なく始めたマッチングアプリ。共通の趣味嗜好を設定できる機能で、「ファッション」を選んだら、すぐに彼女から「いいね!」が届いた。メッセージの ...