蒸し暑い夏の盛り、蝉の鳴き声が降り注ぐ午後だった。俺、河野大地は、スマホの画面に釘付けになっていた。指が震える。心臓の音がうるさいくらいに鼓動している。俺の目の前に表示されているのは、とある出会い系サイトのプロフィール画面。そこに写っている女性の顔は、俺がずっと心の中で秘めていた、美しくて手の届かない人――池田亜希子、俺の叔母だった。 あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。亜希子が俺の実家に遊びに来たのは、確か俺がまだ小学校に上がる前だったか。庭でセミの抜け殻を探していた俺を見つけ、彼女は 「大地くん、 ...