蜜と毒の誘惑
裕美との関係が始まって数日後、俺の心は、二つの感情の間で揺れ動いていた。
昼間は裕美の成熟した魅力に溺れ、夜は恵子への罪悪感に苛まれる。
裕美との情事は、刺激的で、俺の男としての好奇心を十二分に満たしてくれるものだった。
彼女のグラマーな身体は、恵子の均整の取れたプロポーションとはまた違う、官能的な魅力に溢れていた。
しかし、恵子との関係も、俺にとって決して手放せないものだった。
彼女の純粋な愛情は、俺の荒んだ心を癒してくれる。
俺は、まるで蜜と毒の両方を同時に摂取しているような気分だった。
ある日の午後、オフィスで裕美と二人きりになった時、俺は彼女のデスクへと向かった。
裕美は、俺の姿を見ると、艶やかな笑みを浮かべた。
その視線に、俺の身体が熱くなる。
「裕美、ちょっといいか?」
「はい、翔太さん。何かございましたか?」
裕美は、俺の視線を受け止めながら、どこか挑発的に胸を張った。
ビジネススーツの胸元がわずかに張り裂けそうに見える。
俺は、彼女のデスクの縁に腰かけ、その顔を覗き込んだ。
「今日の夜、俺のマンションに来ないか?」
裕美の瞳が、一瞬だけ揺れた。だが、すぐにいつもの笑みに戻る。
「……承知いたしました。何時ごろがよろしいでしょうか?」
裕美の声は、普段と変わらぬプロフェッショナルな響きだったが、その唇の端が、わずかに吊り上がっているのが見えた。
その夜、裕美が俺のマンションのドアを叩いた時、俺の心臓は高鳴っていた。
彼女は、昼間のビジネススーツとは違う、黒いタイトなワンピースを身につけていた。
体の線がはっきりとわかるその姿は、俺の欲望をさらに煽る。
「いらっしゃい、裕美」
俺は、裕美をリビングへと招き入れた。
裕美は、俺の部屋をゆっくりと見回し、艶やかな笑みを浮かべた。
「素敵なお部屋ですね、翔太さん。まるで、社長室のよう」
その言葉に、俺は軽く笑った。リビングの照明を少し落とし、間接照明だけにする。
部屋全体が、秘密のベールに包まれたかのような雰囲気になる。
俺は、裕美の隣に座り、彼女の肩を抱いた。
裕美は、抵抗することなく、俺の腕の中に収まった。
「裕美、お前は本当にいい女だ」
俺の言葉に、裕美はくすりと笑った。
「翔太さんにそう言っていただけると、嬉しいです」
裕美の指が、俺のシャツのボタンに触れる。その指先が、ゆっくりとボタンを外していく。
一つ、また一つと、ボタンが外れていくたびに、俺の胸が高鳴った。
シャツがはだけ、俺の胸板があらわになる。
裕美は、その胸に顔を埋め、熱い吐息を漏らした。
「翔太さん……」
その声は、昼間のオフィスで見せる、プロフェッショナルな響きとは全く違う、甘く、誘うような声だった。
俺は、裕美のワンピースのファスナーに手をかけた。
ゆっくりと下ろしていくと、彼女の背中があらわになる。
しっとりとした肌が、俺の指先に触れる。
ワンピースが、裕美の身体から滑り落ち、床に広がる。
その下に現れたのは、黒いレースのブラとショーツ。

豊満な胸元が、ブラの中で大きく揺れる。
裕美は、俺の腕の中で、その身体をくねらせた。
「翔太さん……私……もう、我慢できません……」
裕美の声は、切羽詰まっていた。
俺は、彼女のブラのホックに手をかけた。
パチン、と音がして、ブラが外れる。豊かな胸が、俺の目の前で大きく揺れる。
その先端は、すでに固く、熱を帯びていた。
俺は、その熱い先端を唇で含み、優しく吸い上げた。
裕美の身体が、大きく弓なりにしなる。
「んんっ……あぅ……翔太さん……」
裕美の喘ぎ声が、部屋に響き渡る。
俺は、裕美のショーツにも手をかけた。
するりと下ろしていくと、そこに現れたのは、成熟した女の蜜壺。
しっとりと濡れていて、今にも蜜が溢れ出しそうだった。
俺は、その蜜壺に指を差し入れた。
裕美の身体が、ビクンと大きく震える。
「ひっ……!」
裕美が、小さな悲鳴のような声を漏らした。
その身体は、全身が震え、俺の胸に顔を埋めた。
俺は、その蜜壺をゆっくりと開かせ、その奥へと指を差し入れた。
裕美の身体が、痙攣するように震え始める。
彼女の足が俺の腰に絡みつき、さらに奥へと導くかのように締め付けてきた。
「んんっ……あぅ……翔太さん……やめて……もっと……」
その矛盾した言葉が、俺の欲望を加速させた。裕美の抵抗は、俺にとっては快楽のサインだった。
俺は、さらに深く、指を動かした。裕美の身体から、甘い蜜が溢れ出し、俺の指を濡らしていく。
その熱と湿り気が、俺の指先にまとわりつく。俺は、その蜜を指ですくい取り、裕美の唇に押し付けた。
裕美は、半ば無意識のうちに、その指を舐めとった。その行為が、俺の心臓を鷲掴みにする。
「裕美・・・。もう我慢できない・・・」
俺の言葉に、裕美の身体がさらに震えた。
彼女の瞳には、涙が浮かんでいたが、それは悲しみではなく、快楽のあまりの揺らぎだと俺は知っていた。
俺は、裕美を抱き上げたまま、寝室へと移動した。
ベッドに裕美を押し倒し、俺もまた服を脱ぎ捨てる。
そして、俺は裕美の上に覆いかぶさり、彼女の熱い奥へとなだれ込んだ。
裕美の身体が大きく跳ね、快楽の絶叫が喉の奥で押し殺された。
ヒュー、ヒューと、荒い呼吸が俺の耳に届く。
その度に、裕美の秘部が俺のものを締め付ける。
何度も、何度も、深く、強く、俺は裕美の身体を貪った。
彼女の吐息が、甘い呻き声へと変わっていく。
「んっ……んんっ……翔太さん……だめ……もう……」
その声に、俺はさらに深く突き上げた。
互いの身体がぶつかり合う鈍い音と、粘りつくような嬌声が、寝室に響き渡る。
快感が、脳の奥深くを痺れさせる。裕美の身体が、俺の動きに合わせて小刻みに震え、やがて大きく弓なりにしなった。
「あっ……ああああ……っ!」
裕美の声が、部屋に響き渡る。
その瞬間、彼女の身体が大きく痙攣し、俺を奥へと締め付けた。
俺もまた、その快感の波に抗えず、裕美の奥で、全てを解放した。
熱い塊が、裕美の身体の奥へと注ぎ込まれていく感触が、俺の全身を駆け巡る。
裕美の身体は、もうぐったりとして、俺の腕の中で安堵の息を吐いた。
裕美の寝顔は、昼間の艶やかさとは打って変わって、あどけなく、無防備だった。
その顔を見つめながら、俺は恵子のことを思い出した。
恵子もまた、俺の腕の中で、いつもこんな風に眠っていた。
俺の心は、二人の女の間で、揺れ動いていた。
翌日、俺は浩二と昼食を共にした。浩二は、どこか満足げな顔で、俺に笑いかけた。
「どうだ、裕美は?俺の秘書は、優秀だろう?」
浩二の言葉に、俺は軽く笑った。
「ああ、優秀だ。お前の言う通り、期待以上だった」
浩二の目が、一層細くなる。その視線は、俺の心の内を見透かしているかのようだった。
「だろう?ところで、恵子はどうだ?俺の期待にも、十分応えてくれているぞ」
浩二の言葉に、俺の心臓が小さく跳ねた。
恵子が浩二と、俺と同じような関係を築いているのかと想像すると、胸の奥がざわつく。
それは、嫉妬にも似た感情だった。
だが、この状況を望んだのは、他ならぬ俺自身だ。
「そうか……それは、よかったな」
俺は、なんとか平静を装い、そう答えた。
浩二は、俺の表情の変化に気づいているのかいないのか、にこやかに笑い続けている。
「なあ、翔太。この関係、どう思う?悪くないだろう?」
浩二の言葉に、俺は一瞬、言葉を失った。
悪くない。確かに、悪くはない。
むしろ、刺激的で、俺の生活に新たな彩りを与えてくれている。
だが、同時に、この関係の危うさも感じていた。
どこかで、この均衡が崩れるのではないかという、漠然とした不安が、俺の胸の中にあった。
「ああ……悪くはないな」
俺は、そう答えるのが精一杯だった。
俺たちの間に流れる空気は、どこか熱を帯びていた。
それは、ビジネスパートナーという枠を超えた、男同士の共犯意識のようなものだった。
その日の夜、恵子から連絡があった。
「翔太さん、お忙しいところ申し訳ありません。少し、お話したいことがあるのですが……」
恵子の声は、いつもよりも少し、震えているように聞こえた。
俺の胸が、ざわつく。彼女が、何かを察したのだろうか。
それとも、浩二との関係で、何かあったのだろうか。
「ああ、いいぞ。どこかで会うか?」
「いえ……できれば、翔太さんのマンションで……」
恵子の言葉に、俺は一瞬戸惑った。
俺のマンションは、裕美との秘密の場所でもあった。
だが、恵子の切羽詰まった声に、俺は断ることができなかった。
「分かった。待っている」
電話を切った後、俺は深い溜息をついた。
この絡み合った糸は、もう俺の手に負えるものではないのかもしれない。
恵子との関係、裕美との関係、そして浩二との奇妙な共犯関係。
全てが複雑に絡み合い、俺は、その中心で溺れかけていた。
恵子がマンションに到着した時、彼女の顔色は、どこか青ざめていた。
その瞳は、何かを恐れているかのようだった。
俺は、彼女をリビングへと招き入れた。
「恵子、どうしたんだ?何かあったのか?」
俺の問いかけに、恵子は俯いたまま、何も答えない。
その細い肩が、小刻みに震えているのが分かった。
俺は、彼女の隣に座り、その手を握った。
恵子の指先は、ひどく冷たかった。
「恵子、話してくれ。お前が苦しんでいるのなら、俺は助けたい」
俺の言葉に、恵子は顔を上げた。その瞳には、大粒の涙が浮かんでいた。
「翔太さん……私……杉本社長と……」
恵子の言葉に、俺の心臓が強く波打った。
やはり、浩二との間に何かがあったのだ。
そして、それは、俺が想像していたよりも、遥かに深いものなのかもしれない。
「何があったんだ、恵子。教えてくれ」
俺は、恵子の言葉を促した。
恵子は、涙を流しながら、ゆっくりと話し始めた。
その内容は、俺の想像を遥かに超えるものだった。
浩二は、恵子を単なる秘書として扱うだけでなく、まるで自分の所有物であるかのように、彼女を支配しようとしているというのだ。
そして、その支配は、肉体的なものにまで及んでいた。
「翔太さん……私……杉本社長に……無理やり……」
恵子の言葉に、俺の頭の中が真っ白になった。
無理やり。
その言葉が、俺の脳裏に激しく響いた。
浩二が、恵子を強引に。
恵子は、俺の目の前で、嗚咽を漏らしながら、その出来事を語った。
俺の胸の奥で、猛烈な怒りがこみ上げてくる。
浩二への信頼が、一瞬にして崩れ去った。
「翔太さん……助けて……私……どうしたらいいのか……」
恵子は、俺の胸に顔を埋め、泣きじゃくる。
俺は、彼女の身体を強く抱きしめた。
その温もりは、俺の罪悪感をさらに深く抉る。
俺が、恵子を浩二に差し出したからこそ、こんなことになったのだ。
俺は、この関係を構築した責任を、痛いほどに感じていた。
「大丈夫だ、恵子。もう、何も心配いらない。俺が、お前を守る」
俺は、恵子の髪を撫でながら、そう誓った。
だが、その言葉は、俺自身の心にも深く響いた。
この泥沼のような関係から、果たして俺は、恵子を、そして自分自身を、救い出すことができるのだろうか。
絡み合った糸は、もはや解きほぐすことができないほど、深く、複雑に絡み合っていた。