体験談

交差する運命の糸 後編

俺たちは、人通りの少ない裏道を、あてもなく歩いた。夕暮れの空が、オレンジ色に染まっていく。
街灯が、ちらほらと点灯し始め、柔らかな光が、俺たちの足元を照らす。

「大地くんは、どうして、私に惹かれたの?」

亜希子が、ふと、そんな問いを投げかけた。その言葉に、俺は、少し照れくさくなった。

「最初からだ。初めて会った時から、あなたのことが、忘れられなかった」

俺は、正直な気持ちを伝えた。亜希子は、俺の言葉に、小さく微笑んだ。

「そう…私、あなたのこと、可愛い弟みたいに思ってたのに…」

亜希子の言葉に、俺の胸に、少しだけ痛みが走った。だが、それは、もう過去のことだ。
今の俺たちは、弟と叔母の関係を、完全に超えてしまっている。

「もう、弟なんかじゃない。俺は、亜希子さんを愛してる、一人の男だ」

俺は、亜希子の手を、さらに強く握りしめた。彼女の指が、俺の指を、優しく撫でる。その触れ合いが、俺の心を、さらに熱くさせる。

「…そうね。もう、引き返せないところまで来ちゃったみたいね」

亜希子の声は、どこか諦めを含んでいたが、その瞳には、諦めだけではない、新たな始まりへの期待のような光が宿っていた。

「引き返さなくていい。俺は、ずっとあなたと一緒にいたい」

俺は、亜希子の肩を抱き寄せた。彼女の体が、俺の腕の中に、すっぽりと収まる。その温かさが、俺の全身に、じんわりと広がっていく。

やがて、俺たちは、人目につかない小さなホテルに足を踏み入れた。ロビーは薄暗く、誰もいない。
俺たちの足音が、カーペットに吸い込まれていく。心臓が、ドクドクと音を立てる。亜希子の体温が、繋いだ手から、強く伝わってくる。

部屋のドアを開けると、そこは、静かで、そして、どこか甘い香りが漂っていた。
カーテンの隙間から、街の明かりが、わずかに差し込んでいる。

俺は、亜希子の手を引いて、部屋の奥へと進んだ。亜希子は、少しだけためらいながらも、俺に続いて歩いてくる。
その一歩一歩が、俺たちの禁断の道を、さらに深く刻んでいくようだった。

「亜希子さん…」

俺は、亜希子の体を、そっと抱き寄せた。彼女の柔らかな体が、俺の胸に、優しく触れる。その感触に、俺の意識は遠のきそうになった。

亜希子は、俺の胸に顔を埋め、小さく息を吸い込んだ。その吐息が、俺の首筋にかかる。甘く、そして熱い吐息。

「大地くん…私、本当に…」

亜希子の声は、震えていた。その言葉の続きを、俺は待てなかった。

俺は、ゆっくりと、亜希子の顔を上げた。潤んだ瞳が、俺の目を真っ直ぐに見つめる。
その瞳の奥には、迷いと、そして、俺への強い欲求が、渦巻いているように見えた。

俺は、亜希子の唇に、再び自分の唇を重ねた。今度のキスは、これまでで一番深く、そして、情熱的だった。
亜希子の唇が、俺の唇を、貪るように吸い上げる。舌が絡み合い、互いの呼吸が、乱れていくのがわかる。

俺は、亜希子の背中に手を回し、彼女の体を、さらに自分へと引き寄せた。彼女の柔らかな体が、俺の体に密着する。その感触に、俺の全身は熱くなった。

亜希子の手が、俺のシャツの裾を、そっと掴んだ。その指が、微かに震えているのがわかる。そして、ゆっくりと、俺のシャツのボタンに触れた。

俺は、亜希子の髪を、優しく撫でた。彼女の細い首筋に、俺の唇を滑らせる。亜希子の体が、びくりと震え、小さく息をのんだ。

「…っ…大地くん…」

亜希子の声が、喘ぐように響く。その声が、俺の理性を、さらに強く揺さぶった。

もう、何も考えることはできなかった。ただ、目の前の亜希子を、全身で感じたい。その一心だった。
俺たちの禁断の夜が、静かに、そして熱く、始まろうとしていた。

ホテルの部屋は、静寂に包まれていた。カーテンの隙間から差し込む街の光が、ぼんやりと室内を照らしている。
俺の腕の中で、亜希子の体が、微かに震えているのがわかる。

その震えは、もう恐怖や不安ではない。期待と、そして、抑えきれない情欲の震えだった。

「亜希子…」

俺は、彼女の耳元で、甘く囁いた。亜希子の体が、びくりと反応する。

俺は、ゆっくりと、亜希子のワンピースを脱がし始めた。
指先が、彼女の肌に触れるたびに、電流が走ったような感覚に襲われる。亜希子の吐息が、荒くなっていくのがわかる。

「んっ…」

亜希子が、小さく声を漏らした。その声が、俺の理性をさらに揺さぶる。
白い肌が、少しずつあらわになっていく。その白さに、俺の視線は釘付けになった。

ワンピースがはだけ、亜希子の柔らかな肩が露わになる。俺は、その肩に、そっと唇を落とした。彼女の肌は、驚くほど滑らかで、そして、甘い香りがした。

「あっ…」

亜希子の体が、大きく震えた。俺の唇が、ゆっくりと、亜希子の首筋を這い上がっていく。彼女の鎖骨に、そっと舌を這わせる。亜希子の体が、さらに熱を帯びていくのがわかる。

「大地くん…」

亜希子の声は、完全に甘く、そして、蕩けるようだった。その声に、俺は、もう我慢できなかった。

俺は、亜希子の唇を、再び貪るように塞いだ。舌が絡み合い、互いの唾液が混じり合う。息が苦しくなるほど、深く、そして熱いキスだった。

亜希子の手が、俺の首に回され、髪を掻き抱くように掴んだ。その指が、俺の頭を、さらに強く、彼女の唇へと引き寄せた。

俺は、亜希子のワンピースを、ゆっくりと脱がせた。床に音もなく落ちる。その下に現れたのは、レースのブラジャーに包まれた、豊満な胸だった。

「…っ…」

俺の視線が、亜希子の胸に釘付けになる。美しく、そして、触れてはいけないもの。その禁断の果実を前に、俺の心臓は、激しく高鳴った。

亜希子の顔は、赤く染まり、潤んだ瞳は、完全に情欲に溺れているようだった。彼女は、ゆっくりと、腕を伸ばし、俺のシャツを脱がせ始めた。

俺のシャツが、床に落ちる。素肌になった俺の体に、亜希子の手が、そっと触れた。彼女の指が、俺の胸板を、ゆっくりと撫でる。その感触に、俺の全身に、甘い痺れが走った。

「大地くん…あなたの体…」

亜希子の声が、喘ぐように響く。彼女の指が、俺の腹筋を、ゆっくりと下へ滑っていく。その触れ合いに、俺の理性の箍は、完全に外れた。

俺は、亜希子を抱き上げ、ベッドへとゆっくりと運んだ。亜希子の体が、ベッドに沈み込む。その瞬間、柔らかいシーツの感触が、俺たちの肌を優しく包み込んだ。

「亜希子…」

俺は、亜希子の上に覆いかぶさった。彼女の瞳が、俺を真っ直ぐに見つめる。その瞳の奥には、もう迷いはなく、ただ俺への強い愛と、欲求が渦巻いていた。

俺は、亜希子のブラジャーに、手を伸ばした。レースの紐が、指先をすり抜ける。そして、亜希子の豊満な胸が、俺の目の前に現れた。

「んんっ…」

亜希子が、甘く声を漏らした。俺は、彼女の胸に、そっと唇を落とした。柔らかく、そして、温かい。その感触に、俺の意識は遠のきそうになった。

俺の舌が、亜希子の胸を、ゆっくりと舐め上げる。亜希子の体が、びくりと震え、背中が弓なりになった。

「ああっ…大地くん…」

亜希子の声が、喘ぎに変わる。その声が、俺の心を、さらに煽り立てる。

俺は、亜希子の下着に手を伸ばした。シルクの生地が、指先を滑る。そして、亜希子の秘められた場所が、俺の目の前に現れた。

そこは、すでに熱く、そして、濡れていた。俺の指が触れると、亜希子の体が、大きく震えた。

「っ…大地くん…や、やめて…」

亜希子が、弱々しく抵抗する。だが、その声は、むしろ俺を誘っているかのようだった。

俺は、亜希子の耳元に、そっと唇を寄せた。

「亜希子…俺は、もう我慢できない…」

俺の言葉に、亜希子の体が、完全に力を抜いた。そして、潤んだ瞳で、俺を見つめた。その瞳には、諦めと、そして、俺への全てを委ねるような、強い信頼が宿っていた。

俺は、亜希子の足を、ゆっくりと開かせた。そして、自分の体を、彼女の間に滑り込ませる。

初めての感覚。温かく、そして、締め付けるような感触。亜希子の体が、俺の全身を、優しく包み込んだ。

「…っ…大地くん…」

亜希子の声が、喘ぎに変わる。俺は、ゆっくりと、体を動かし始めた。その動きに合わせて、亜希子の体が、俺の動きに追従するように、上下する。

部屋には、俺たちの荒い息遣いと、ベッドが軋む音だけが響き渡った。禁断の扉は、完全に開かれた。俺たちは、もう、誰にも止められない。

(亜希子…俺は、お前を、誰にも渡さない…)

俺は、亜希子の体の中で、激しく動き続けた。そして、俺の心は、抗いようのない幸福感で満たされていた。それは、甘く、そして、罪深い、禁断の快楽だった。

夜が明ける頃、俺たちは静かに抱き合っていた。朝日がカーテンの隙間から差し込み、亜希子の髪を淡く照らす。彼女の柔らかな寝息が、俺の耳元で聞こえる。昨夜の激しさが嘘のように、俺たちは穏やかな時間を過ごしていた。

亜希子の頬に、そっとキスを落とす。彼女の瞼が、ゆっくりと開いた。潤んだ瞳が、俺を捉える。その目には、まだ夢の残り香と、そして、昨日とは違う、深く満たされた感情が宿っていた。

「…大地くん…」

亜希子の声は、かすれていたが、その響きは、どこか甘く、そして俺の心を揺さぶった。

「おはよう、亜希子」

俺は、亜希子の髪を優しく撫でた。彼女は、俺の腕の中で、ゆっくりと身じろぎ、俺に体を寄せてきた。その柔らかな感触に、俺の心は満たされる。

「私…夢を見ていたみたい…」

亜希子が、小さく囁いた。その言葉に、俺は、少しだけ胸が締め付けられた。これは、夢なんかじゃない。俺たちが、現実の中で、深く結びついた証なのだ。

「夢じゃない。全部、本当だ」

俺は、亜希子の額に、もう一度キスをした。彼女の肌は、まだ少し熱を帯びていた。

亜希子は、俺の言葉に、ゆっくりと頷いた。そして、俺の胸に顔を埋める。彼女の吐息が、俺の肌にかかる。

「私…どうすればいいのか、まだわからないけど…」

亜希子の声が、弱々しく響く。

「大丈夫だ。俺が、そばにいる。亜希子が、俺に寄りかかればいい」

俺は、亜希子の体を、さらに強く抱きしめた。彼女の体が、俺の腕の中で、ゆっくりと、力を抜いていくのを感じた。

しばらくの間、俺たちは何も話さなかった。ただ、互いの温もりを感じ合い、静かな時間を過ごしていた。朝の光が、部屋全体を包み込み、昨日までの混沌とした感情が、少しずつ落ち着いていくのを感じる。

やがて、亜希子が、ゆっくりと顔を上げた。その瞳は、昨日とは違う、澄んだ輝きを放っていた。

「ねえ、大地くん…」

「何だ?」

「私…あなたのことが、好き」

亜希子の言葉に、俺の心臓は、歓喜の声を上げた。それは、俺がずっと聞きたかった言葉だった。

「俺もだ、亜希子。愛してる」

俺は、亜希子の唇に、そっとキスをした。それは、昨夜の激しいキスとは違う、優しく、そして、愛情に満ちたキスだった。

俺たちは、ゆっくりと体を起こした。シーツが、俺たちの肌を滑り落ちる。露わになった互いの体に、わずかな羞恥心が芽生える。だが、それも、すぐに消え去った。もう、俺たちの間には、隠すものなど何もない。

亜希子は、ゆっくりと立ち上がり、窓辺へと歩いていく。朝日を浴びた彼女の姿は、ひどく美しく、神々しいほどだった。俺は、その背中を、ただじっと見つめていた。

「大地くん…」

亜希子が、振り返って、俺に微笑んだ。その笑顔は、これまでの彼女の苦悩を忘れさせるほどに、輝いていた。

「私は、もう、後悔しない。あなたと出会えて、本当に良かった」

亜希子の言葉に、俺の胸は熱くなった。俺もまた、亜希子と出会えたことを、心から感謝していた。

俺は、ベッドから降り、亜希子の元へと歩み寄った。そして、その体を、後ろから優しく抱きしめた。

「俺もだ。亜希子と出会えて、俺は、本当に幸せだ」

亜希子は、俺の腕の中で、ゆっくりと振り返った。そして、俺の顔に、そっと手を添えた。

「これから、色々なことがあると思うわ。でも、私は、あなたと一緒に、乗り越えていきたい」

亜希子の言葉に、俺は強く頷いた。

「ああ。どんなことでも、一緒に乗り越えよう。俺たちは、もう、一人じゃない」

俺は、亜希子の唇に、再びキスをした。そのキスは、俺たちの未来への誓いだった。禁断の扉を開き、深く結びついた俺たちは、もう、誰にも止められない。この先、どんな困難が待ち受けていようとも、俺たちは、二人で手を取り合って生きていく。

(亜希子…愛してる)

心の中で、何度もその言葉を繰り返した。それは、俺の全てを懸けて、守り抜くと誓った、かけがえのない存在になった亜希子への、偽りのない想いだった。

あれから半年が過ぎた。季節は巡り、新緑が目に眩しい初夏の陽気だ。俺たちの関係は、あのホテルの夜から、さらに深く、そして強い絆で結ばれた。最初は、世間に対する罪悪感や、いつかバレてしまうのではないかという不安がなかったわけではない。特に亜希子は、その葛藤に苦しんでいたように思う。

「大地くん…本当に、これでいいのかな…」

そう言って、俺の腕の中で、涙を流した夜もあった。そのたびに俺は、彼女を強く抱きしめ、「俺が、亜希子を幸せにするから。絶対に後悔させない」と、何度も誓った。俺の言葉が、彼女の不安を少しでも和らげられるように、心を込めて。

俺たちは、会える日には時間を気にせず、ただ二人で過ごした。公園を散歩したり、映画を観に行ったり、時には遠出して、人里離れた温泉に浸かったりもした。亜希子は、俺といる時だけは、専業主婦の顔を脱ぎ捨て、まるで少女のように無邪気に笑った。その笑顔を見るたびに、俺は、この関係が、いかに亜希子にとって必要不可欠なものになっているかを実感した。そして、俺自身も、亜希子がいるからこそ、毎日の生活に潤いと、生きる意味を見出すことができた。

亜希子の夫のことは、一度も話題に上ることはなかった。互いに、触れてはいけない領域だと暗黙の了解があったのだろう。俺は、彼女の過去に嫉妬することも、詮索することもなかった。ただ、今この瞬間に、亜希子が俺の隣にいてくれること、そして、俺を愛してくれていること、それだけで十分だった。

ある日、亜希子が、俺の腕の中で、小さく呟いた。

「ねえ、大地くん…私、強くなりたい」

その言葉に、俺は驚いた。これまでの亜希子からは、想像もできない言葉だったからだ。

「どうしたんだ、急に」

「あなたといると、本当に幸せなの。でも、このままじゃダメだって、わかってる。だから、私、ちゃんと自分の足で、あなたと一緒に生きていけるように、強くなりたい」

亜希子の瞳は、これまでにないほど、力強い光を宿していた。その変化に、俺は、彼女の成長を感じ、胸が熱くなった。

「ああ。俺もだ。俺たちなら、きっとできる」

俺は、亜希子を強く抱きしめた。彼女の決意に、俺もまた、新たな覚悟が芽生えた。

そして、亜希子は、夫と別れることを決意した。俺は、その選択を、全力で支えた。亜希子の夫と、直接会うことはなかったが、彼女が抱える苦悩や葛藤を、傍で支え続けた。夜遅くまで電話で話し、時には、ただ黙って彼女の隣に座っていることもあった。その間、俺は、亜希子が、どれだけ傷つき、苦しんでいるのかを痛いほど感じた。それでも、彼女は、俺のために、そして、自分のために、前に進むことを選んだのだ。

数ヶ月後、亜希子は、離婚が成立したことを、俺に伝えてくれた。その時の彼女の顔は、憔悴していたが、どこか清々しく、そして、新しい人生への希望に満ちていた。

「大地くん…ありがとう。あなたがいてくれたから、私、頑張れた」

亜希子が、俺の胸に飛び込んできた。俺は、彼女を強く抱きしめ、背中を優しく撫でた。

「無事で、よかった。俺は、ずっと亜希子の味方だから」

その夜、俺たちは、もう誰にも気兼ねすることなく、愛し合った。それは、これまでで一番、優しく、そして、深い愛の行為だった。

そして、現在。俺たちは、新しいアパートで、二人で暮らし始めている。決して広い部屋ではないけれど、亜希子と二人で選んだ家具や、手作りの料理が並ぶ食卓は、俺にとって、何よりも大切な場所だ。

朝、目を覚ますと、隣には亜希子の寝顔がある。その寝顔を見るたびに、俺は、この奇跡のような出会いに感謝せずにはいられない。禁断の扉を開いたことで、俺たちは、多くのものを犠牲にしたのかもしれない。だが、それ以上に、かけがえのない愛と、本当の幸せを手に入れたのだ。

ベランダから、柔らかな風が吹き込んでくる。俺は、亜希子の髪を優しく撫で、そっとキスをした。

「愛してる、亜希子」

俺の囁きに、亜希子が、ゆっくりと目を開けた。潤んだ瞳が、俺を真っ直ぐに見つめ、優しく微笑んだ。

「私も、愛してる、大地くん」

俺たちの新しい人生は、まだ始まったばかりだ。これからも、多くの困難が待ち受けているかもしれない。でも、俺たちは、もう一人じゃない。この愛があれば、どんなことでも乗り越えられる。そう、心から信じている。

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