美女の奸計
「翔太さん・・・。中に・・・、中に出して・・・。あん・・・」
恵子の自宅で、柔らかな朝の光が差し込む中、俺はキングサイズのベッドで恵子を抱きしめて中で果てた。
彼女の柔らかな身体が、俺の腿の上に優しく乗っている。
俺は、彼女のサラサラとした髪を指で梳き、その滑らかな背中をゆっくりと撫でた。
恵子は、俺の胸に顔を埋め、満ち足りた溜息をついた。その温かさが、俺の心を安らぎで満たしていく。
「そういえば、翔太さん……最近、裕美さんの会社、あまり良い噂を聞きませんね・・・」
恵子の声が、俺の耳元で甘く響いた。
俺は、彼女の髪にキスを落とし、優しく答えた。
「ああ。円安の影響と資材高騰が響いて、今、下着業界全体に大きな影を落としている。
原材料の高騰は、企業の利益を圧迫するし、生産コストは鰻登りだ。浩二の会社も、業績が悪化の一途を辿っていると聞く」
恵子は、俺の胸に顔を埋めたまま、心配そうに囁いた。
「資金繰りも苦しくなっているって聞きました。キャッシュフローも悪化して、日々自転車操業のような状態だと……」
俺は、恵子の頬にキスを落とし、彼女の柔らかな身体をさらに強く抱きしめた。
「ああ。取引銀行に追加融資を頼んでも、受け付けてもらえないと聞く。
彼の会社は、まるで砂上の楼閣のように、今にも崩れ落ちそうな状態だ。市場には、浩二の会社に対する不信感が蔓延している」
恵子は、俺の腕の中で身じろぎ、俺の顔を見上げた。
その瞳には、複雑な感情が入り混じっていた。哀れみと、そしてどこか冷徹な光が宿っているように見えた。
「杉本社長……自業自得、というところでしょうか……」
その言葉には、かつて浩二に傷つけられた恵子の、微かな憎悪が込められているように感じられた。
俺は、彼女の唇にそっとキスを落とした。
言葉を交わさずとも、恵子の気持ちは痛いほど分かった。
そんなある日の午後、俺の携帯が鳴った。
画面に表示された「杉本浩二」の文字に、俺の胸は嫌悪感と、わずかながらも好奇心が入り混じった感情でざわめいた。
彼の電話を無視しようかとも思ったが、結局、受話器を取ってしまった。
俺の指は、まるで何かに導かれるように、通話ボタンを押していた。
「翔太……頼む、助けてくれ」
浩二の声は、以前の横柄さは消え失せ、まるで懇願するかのように弱々しかった。
その声は、かつての傲慢な彼の面影を微塵も感じさせず、ただただ惨めだった。
彼のプライドが、完全に打ち砕かれているのが見て取れた。
その声からは、彼の心の奥底に宿る、深い絶望が伝わってきた。
「今、会社が本当にヤバいんだ。銀行も相手にしてくれない。そこで、頼みがあるんだが……」
俺は彼の言葉を静かに待った。
冷たい視線を窓の外の景色に向けながら、彼の次の言葉を待つ。
彼の口から出た言葉は、俺の想像を遥かに超えるものだった。
それは、俺の耳を疑うような、常軌を逸した提案だった。
「裕美を……裕美を君に渡す。だから、2億円、資金を提供してくれないか?」
俺は受話器を握りしめ、言葉を失った。
裕美を渡す? そして2億円? 冗談としか思えなかった。
この男は、何を考えているんだ。
自分の秘書を、まるで物のように差し出すなどと……。
「……浩二、お前、何を言ってるんだ? ふざけるのも大概にしろ!」
俺の声は、震えていた。怒りで、身体が小刻みに震える。
浩二の言葉は、まるで熱した鉄の棒のように、俺の神経を焼いた。
「ふざけてなんかないさ、翔太。俺は本気だ。このままじゃ会社が潰れる。裕美は、お前との関係を望んでいる。お前も、裕美の身体を存分に味わっただろう? それなら、裕美にとっても悪い話じゃないはずだ。それに、2億円なんて、お前の会社ならすぐに捻出できるだろう?」
浩二は、悪びれる様子もなく、平然と言い放った。
その言葉のどこにも、人間としての良心や、他者への配慮など、微塵も感じられなかった。
彼の人間性は、俺の想像を遥かに超えて腐敗していた。
俺の頭の中は、困惑と嫌悪感、そしてわずかな侮蔑で一杯になった。
彼の発言は、ビジネスの枠を超えた、人間の尊厳を弄ぶ行為に他ならなかった。
彼の醜悪な本性が、剥き出しになった瞬間だった。
俺の胃の奥から、込み上げるような吐き気がした。
「そんな馬鹿な話を、俺が聞くとでも思ったのか、浩二!」
俺は受話器を握りしめる手に、さらに力を込めた。
手のひらから、ミシ、と嫌な音がしたような気がした。
血管が、こめかみに浮き上がり、ドクドクと脈打つ。
「馬鹿な話だと? ははっ、翔太。お前だって、裕美の身体を散々弄んだくせに、今さら何を言ってるんだ? あの豊満な胸、吸い付くような腰つき。お前は、裕美の全てを味わったはずだ。そうだろ? それとも、俺が恵子の全てを味わったのが、そんなに不愉快だったか?」
浩二の言葉が、俺の脳裏に恵子の姿を鮮明に、そして残酷に描き出す。
その言葉の裏には、恵子を汚したという、浩二の悪意がはっきりと見て取れた。
俺の胸は、嫉妬と怒りで張り裂けそうになった。
胃の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
恵子の無垢な笑顔が、俺の胸を締め付ける。
こいつに、恵子が……。
その想像だけで、俺の心は灼熱の炎に包まれ、内側から焼け爛れるような苦しみに襲われた。
心臓が、まるでマラソンを終えたばかりのように激しく脈打つ。
ドクン、ドクン、と不規則なリズムを刻む。
「てめえ……っ!」
俺は奥歯を噛み締めた。
その衝撃で、歯が軋む音が、耳の奥で響いた。
口の中に、血の味が広がったような気がした。
2億円。決して安い金じゃない。俺の会社にとっても、決して容易に捻出できる額ではない。
しかし、自分の秘書を、まるで物のように売り飛ばすなど、許されることではない。
そして、何よりも、恵子を、浩二の悪意から完全に解放したい。
浩二への底知れない憎悪と、裕美を救いたいという思いが、俺の理性的な判断を完全に狂わせた。
俺の頭の中は、裕美を救い、浩二に引導を渡すというただ一つの執念で埋め尽くされた。
他の何もかもが、霞んで見えた。俺の視界は、怒りで赤く染まっていた。
「……っ。考える時間をくれ、浩二」
俺は、絞り出すような声でそう告げた。喉の奥が張り裂けそうだった。
浩二は、その言葉に満足げに、そして嘲るように笑い、
「こっちも、あまり時間が無いんだ。早めに返事してくれよ。じゃぁな、いい返事待ってるぞ・・・」
ブツッと音を立てて電話を切った。
その電話の切れる音が、俺の心臓に冷たい刃を突き立てるかのようだった。
受話器を置いた俺は、そのまま重い溜息をつく。
アスファルトに叩きつけられるように、俺はソファに倒れ込んだ。
2億円という大金と、裕美の処遇。
俺の心は、激しい葛藤の渦に巻き込まれていた。
良心と、ビジネス的な判断。そして、何よりも恵子への想い。
全てが複雑に絡み合い、俺の思考を麻痺させた。空虚感が、俺の胸に広がる。
まるで、大切な何かを失ったような、言いようのない喪失感が俺を包み込んだ。
どうするべきか、俺にはまだ、答えが見つからなかった。
その日の午後、俺は社長室で一人、深く考え込んでいた。
浩二の提案が、まるで重い石のように俺の心にのしかかっていた。
裕美のことが脳裏をよぎる。
あの聡明で、どこか影のある女性。
彼女が、そんな風に扱われることを望んでいるのだろうか。いや、望むはずがない。
だが、彼女が俺に抱いているであろう感情を考えると、この提案が、彼女にとっての「救い」となる可能性もゼロではないのかもしれない。
俺は、己の倫理観と、現実的な利益の間で、激しく葛藤した。
心の奥底で、良心の呵責がさざ波のように広がっていく。
その波紋は、次第に大きくなり、俺の思考を掻き乱した。
コンコン、と控えめなノックの音がした。
その音は、俺の深い思考の淵に、小さな波紋を広げた。
「翔太さん、失礼します」
恵子の声だ。
その声は、まるで霧の中に差し込む一筋の光のように、俺の心をわずかに照らした。
「ああ、入ってくれ」

恵子が社長室に入ってくると、すぐに俺の異変に気づいたようだ。
彼女の澄んだ瞳が、俺の顔をじっと見つめる。
彼女の優しさが、俺の心を癒す。彼女の表情には、心配の色が深く刻まれていた。
「翔太さん、どうかなさいました? 顔色が悪いようですが……」
恵子は俺の横に歩み寄り、着ていたマイクロミニスカートを捲り上げた。
その白い太ももが露わになり、黒のガーターベルトとストッキング姿が視界いっぱいに広がった。
俺は、その生々しい光景に、思わず息を呑んだ。
彼女は、社長室の椅子に座る俺の膝の上に、ゆっくりと跨った。
恵子の柔らかな太ももが、俺の腿に吸い付くように触れる。
その温かさが、俺の身体に染み渡り、股間が熱を持つ。
彼女は、俺を抱きしめながら、優しく、そして丁寧に、俺の背中を撫で始めた。
その手つきは、まるで幼い子供をあやす母親のように優しく、俺の心を癒していく。
彼女の温かい胸が、俺の顔に触れる。その柔らかさに、俺は深い安堵を感じた。
「あぁ、恵子……。実はな・・・」
俺は重い口を開き、浩二からの連絡、そして彼の提案について、全てを恵子に話した。
恵子は黙って俺の言葉を聞いていた。
その顔からは、感情の起伏は読み取れなかったが、その澄んだ瞳の奥には、確かな動揺と、そして深い悲しみが宿っているのが見て取れた。
彼女の唇が、微かに震えていた。
やがて、彼女の大きな瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
それは、まるで透明な真珠のように、彼女の頬を伝い落ちていった。
その涙は、俺の心の奥底に染み渡るようだった。
「杉本社長……なんてことを…」
恵子は震える声で呟き、俺を抱きしめた。
彼女の温かい腕が、俺の身体を包み込む。
その温もりは、俺の心の奥底に染み込んだ凍てついた感情を、ゆっくりと溶かしていくようだった。
彼女の体温が、俺の胸に直接伝わり、安らぎと同時に、彼女への深い申し訳なさを感じさせた。
彼女の体から香る、甘く優しい匂いが、俺の心を落ち着かせた。
その匂いは、俺にとって、何よりも安らぎの香りだった。
「翔太さん……。翔太さんはどうしたいですか?」
恵子の問いかけに、俺は正直な気持ちを打ち明けた。
俺の言葉は、まるで砂がこぼれ落ちるように、ゆっくりと、そして重く響いた。
「正直……まだ、浩二への恨みが残っている。あの時、君を傷つけたことが、どうしても許せない……。
だが、裕美のことも、放っておけない。彼女もまた、浩二の被害者だ。そして何より、君が、苦しむのを見るのは、もう嫌なんだ。
恵子、君は、僕にとって、何よりも大切な存在なんだ」
恵子は俺の言葉に、何も言わず、ただ強く抱きしめてくれた。
その温もりは、俺の心の奥底に染み込んだ傷を、ゆっくりと癒していくようだった。
彼女の抱擁は、言葉以上の意味を持ち、俺の心を深く慰めた。
彼女の指先が、俺の背中を優しく撫でる。
その触れ合いが、俺の心を落ち着かせた。
「私に任せてください・・・。翔太さん」
恵子は静かにそう言い、俺の顔を見上げた。
その瞳には、強い決意の光が宿っていた。
それは、まるで激しい嵐の後の静かな海のように、しかしその奥には、決して揺らぐことのない意思の力が漲っていた。
その眼差しは、俺の心に、これまで感じたことのない、強い信頼感を呼び起こした。
恵子は、俺の唇を奪い、舌を絡める濃厚なキスをした。
チュッ、と甘い音が響く。
彼女の舌が、俺の口の中を愛おしそうに舐め回す。
その熱に、俺の身体は高揚した。
「その代わり……、上手くいったら、ご褒美くださいね♡」
恵子が唇を離し、いたずらっぽく微笑んだ。
その笑顔は、まるで小悪魔のようだった。
俺は、その言葉の意図を測りかね、思わず問い返した。
「何だ?ご褒美って……?」
俺がそう尋ねると、恵子は再び俺の唇を奪った。
今度は、もっと深く、ねっとりと舌を絡めてくる。
甘い喘ぎが、俺の喉から漏れた。
そして、ゆっくりと唇を離すと、俺の耳元で囁いた。
「それは・・・、その時の、お・た・の・し・み♡」
恵子の言葉に、俺は身体中の血が沸騰するのを感じた。
彼女のその魅惑的な笑顔と、余韻を残すセリフに、俺の心臓は激しく脈打った。
恵子の決意は、俺の心を縛る鎖を解き放つような、そんな力を持っていた。