絡み合う糸、その兆し
俺、竹内翔太、33歳。女性下着販売会社の経営者だ。オフィスはいつも、繊細なレースや柔らかなシルク、そして淡い色の生地に満ちている。華やかな世界のようでいて、その実態は泥臭いビジネスの連続だ。だが、それがまた俺の性には合っている。
人間の最も奥深くにある欲望と美意識を刺激し、形にするこの仕事は、俺にとって生き甲斐そのものだった。特に俺が扱うのは、女性の「最も奥深く」に触れるもの。その意味で、俺の仕事は、人間の本能と欲望に寄り添うものなのかもしれない。
俺の隣には、常に秘書の大山恵子がいる。28歳。彼女は、まるでこの下着業界のために生まれてきたかのような存在だ。
均整の取れた抜群のプロポーションは、当社の専属モデルとしても十二分に通用する。いや、実際に彼女は、一部の広告に登場している。
白いブラウスにタイトスカートというビジネスライクな装いをしていても、その下の完璧な曲線は隠しきれない。
初めて恵子を見た時、俺は直感した。この女は、俺のビジネスに、そして俺の人生に、必要な存在になるだろうと。その直感は、見事に的中した。
恵子とは、ビジネス上のパートナーであると同時に、秘密の関係を築いていた。その関係は、誰にも知られてはならない、俺たちだけの聖域。
夜のオフィス、誰もいなくなった静寂の中で、俺たちは互いの身体を貪り合う。それは、単なる肉体関係を超えた、ある種の儀式だった。俺たちの間に流れる空気は、いつも濃密で、甘く、そしてどこか危険な香りがした。
今日の業務も終わり、社員たちが皆、それぞれの家路についた。オフィスに残されたのは、俺と恵子だけ。蛍光灯の冷たい光が落とす長い影が、壁に不気味に揺れていた。
恵子は、いつものようにデスクの整理をしていたが、その動きはどこかぎこちなく、その白い首筋には、微かな汗が滲んでいた。俺は、彼女の背中に目をやった。タイトスカートに包まれたヒップの曲線が、俺の視線を吸い寄せる。
「恵子、今日のデータ、少し見ておいてくれ」
俺はわざと、残業を装った。恵子は小さく頷き、俺のデスクへとやってくる。その一歩一歩が、俺の心臓の鼓動を加速させた。彼女が俺の隣に立つと、シャンプーと、微かに汗の混じった、恵子特有の甘い匂いが俺の鼻腔をくすぐる。
「かしこまりました。翔太さん」

恵子の声は、いつもどこか潤んでいて、俺の理性を揺さぶる。彼女の吐息が俺の首筋にかかるたび、俺の全身が粟立つ。俺はパソコンの画面を指差すふりをして、恵子の指先に触れた。瞬間、彼女の指がピクリと反応する。その微かな震えが、俺の欲望をさらに煽る。
「恵子……」
俺はゆっくりと、恵子の腰に手を回した。彼女の身体が、一瞬、硬直する。だが、すぐに俺に体重を預けるように、柔らかく傾いた。
俺は彼女の柔らかな唇を塞ぎ、舌を絡める。蜜の味がした。オフィスに響くのは、俺たちの息遣いと、唇が絡み合う湿った音だけ。
カツン、カツンと、遠くで秒針が時を刻む音だけが、現実との繋がりをかろうじて保っているかのようだった。
恵子の手が、俺のシャツの下に滑り込み、背中をゆっくりと撫で上げる。その指先の動き一つ一つが、俺の皮膚の奥に潜む獣を呼び覚ますようだった。
恵子の華奢な肩を抱き寄せ、その身体を俺の胸に押し付ける。彼女の心臓の鼓動が、俺の心臓に直接伝わってくるかのようだ。
ドクン、ドクンと、互いの生命が呼応し合う。俺の手が、恵子のスカートの裾から滑り込み、太ももをゆっくりと撫で上げる。
彼女の肌は、絹のように滑らかで、熱を帯びていた。恵子は小さく息を呑み、俺の腕の中で身をよじった。
「んっ……」
その微かな声が、俺の耳元で甘く響く。俺は恵子の腰に手を回し、さらに深く、彼女の身体に触れていく。
恵子の身体は、俺にとって最高の遊び場だった。その完璧な曲線、柔らかな膨らみ、そして、熱を帯びた奥深く。全てが俺を狂わせる。
俺の指が、恵子の肌の上をゆっくりと這いずるたびに、彼女の身体が小刻みに震えるのが分かった。
「はぁ……翔太さん……」
恵子の呼吸が荒くなる。俺は彼女の耳元に唇を寄せ、囁いた。
「恵子、もっと感じてみろ……俺に、全てを晒せ」
恵子の瞳は、快楽に蕩けていた。焦点が合わず、どこか遠くを見つめている。彼女の身体が、俺の言葉に反応するように、さらに熱を帯びた。
その小さな吐息が、俺の顔に熱くかかる。恵子の指が俺の髪に絡みつき、グッと引き寄せられる。
俺は恵子の唇を再び貪り、その全てを吸い尽くすかのように、深く、深く口付けた。
その勢いのまま、恵子の身体を抱き上げて、デスクの上に座らせる。ヒールが床に落ちる音が、静かなオフィスに響く。
彼女のスカートが大きく乱れ、白い太ももがあらわになる。俺は恵子の足の間に入り込み、そのスカートをさらに捲り上げた。
真っ白なレースのショーツが、彼女の肌に食い込むようにぴったりと張り付いている。そこから、わずかに湿った熱気が伝わってきた。
「恵子……」
俺は、そのレースのショーツの上から、恵子の秘部を撫でた。恵子の身体が、ビクンと大きく震える。
彼女は小さな悲鳴のような声を漏らし、俺の首に腕を回してしがみついてきた。その指先は、俺の背中に食い込むほどだった。
「だめ……翔太さん……ここでは……」
恵子の声は震えていたが、その瞳の奥には、抵抗よりも深い欲望の色が宿っていた。
その言葉が、俺の興奮をさらに煽る。
俺は恵子の耳元に唇を寄せ、低い声で囁いた。
「誰もいない。大丈夫だ、恵子。俺だけがお前の全てを知っている」
俺は迷わず、恵子のショーツに指をかけた。
するりと下ろしていくと、甘い香りが一層強くなる。そこに現れたのは、淡い桃色の花弁。しっとりと濡れていて、今にも蜜が溢れ出しそうだった。
俺は、その柔らかい感触に指を滑らせる。
「ひっ……!」
恵子が、大きく息を呑んだ。その身体は、全身が震え、俺の胸に顔を埋めた。
俺は、その花弁をゆっくりと開かせ、その奥へと指を差し入れた。
恵子の身体が、痙攣するように震え始める。彼女の足が俺の腰に絡みつき、さらに奥へと導くかのように締め付けてきた。
「んんっ……あぅ……翔太さん……だめ……もっと……」
その矛盾した言葉が、俺の欲望を加速させた。恵子の抵抗は、俺にとっては快楽のサインだった。
俺は、さらに深く、指を動かした。恵子の身体から、甘い蜜が溢れ出し、俺の指を濡らしていく。
その熱と湿り気が、俺の指先にまとわりつく。俺は、その蜜を指ですくい取り、恵子の唇に押し付けた。
恵子は、半ば無意識のうちに、その指を舐めとった。その行為が、俺の心臓を鷲掴みにする。
「恵子・・・」
俺の言葉に、恵子の身体がさらに震えた。彼女の瞳には、涙が浮かんでいたが、それは悲しみではなく、快楽のあまりの揺らぎだと俺は知っていた。
俺は、恵子を抱き上げたまま、ソファーへと移動した。
俺は恵子の上に覆いかぶさり、彼女の熱い奥へとなだれ込んだ。
恵子の身体が大きく跳ね、快楽の絶叫が喉の奥で押し殺された。
ヒュー、ヒューと、荒い呼吸が俺の耳に届く。その度に、恵子の秘部が俺のものを締め付ける。
何度も、何度も、深く、強く、俺は恵子の身体を貪った。彼女の吐息が、甘い呻き声へと変わっていく。
「んっ……んんっ……翔太さん……だめ……もう……」
その声に、俺はさらに深く突き上げた。
互いの身体がぶつかり合う鈍い音と、粘りつくような嬌声が、静かなオフィスに響き渡る。
快感が、脳の奥深くを痺れさせる。恵子の身体が、俺の動きに合わせて小刻みに震え、やがて大きく弓なりにしなった。
「あっ……ああああ……っ!」
恵子の声が、オフィスに響き渡る。その瞬間、彼女の身体が大きく痙攣し、俺を奥へと締め付けた。
俺もまた、その快感の波に抗えず、恵子の奥で、全てを解放した。
熱い塊が、恵子の身体の奥へと注ぎ込まれていく感触が、俺の全身を駆け巡る。恵子の身体は、もうぐったりとして、俺の腕の中で安堵の息を吐いた。
俺たちの関係は、あくまでも秘密。誰にも知られてはならない聖域。
オフィスでの真面目な顔、打ち合わせでの完璧なプレゼン。その全てが、夜の帳が下りた途端、本能の赴くままに崩れ去る。
そのギャップが、俺の背徳感を煽り、快感を増幅させる。
恵子もまた、俺の期待に応えるように、その全てを俺に捧げてくる。その姿を見るたびに、俺は彼女を独占しているという優越感に浸り、さらに深く、彼女の全てを求めた。
この聖域は、いつしか俺の日常の一部となり、俺の精神を蝕むように、深く根付いていた。
恵子のいない夜は、まるで味気ない料理のようだった。
彼女の香り、肌触り、声、その全てが、俺の五感を支配していた。
俺の仕事は下着を売ることだが、最も価値のある「下着」は、恵子の肌の上に纏わせるものだった。