その夜、俺たちは互いの存在を
深く確かめ合うように、ゆっくりと肌を重ねた。
言葉は少なく、ただ互いの体温を感じ合い、
慈しむように触れ合った。
彼女の柔らかな肌、甘い吐息、
そして俺の名を呼ぶ掠れた声。
その全てが、俺の感覚を研ぎ澄ませていく。
「しゅうた……」
彼女の手が、俺の頬にそっと触れる。
その指先が微かに震えているのが分かった。
「りこさん……愛してる」
その言葉は、心の底から自然に溢れ出た。
彼女は何も言わず、ただ俺の首に
腕を回し、身を寄せてきた。
熱を帯びた肌と肌が密着するたび、
全身を駆け巡る高揚感が増していく。
俺は、彼女の華奢な体を
優しく抱き寄せ、ベッドに横たわった。
天井を見上げる彼女の瞳には、期待と不安、
そして俺への深い情愛が入り混じっていた。
「……怖い?」
思わず尋ねると、彼女は小さく首を振った。
「ううん……ただ、信じられなくて……」
言葉に詰まる彼女の額に、優しく口付けを落とす。
「大丈夫。ゆっくりでいい。
りこさんが嫌がることは、何一つしないから」
そう言うと、彼女はふっと微笑み、
俺の指に自分の指を絡ませてきた。
その小さな仕草が、
胸が締め付けられるほど愛おしかった。
俺は、彼女の衣服を一つずつ丁寧に解いていった。
月明かりの下で露わになった彼女の肌は、
淡く真珠のような輝きを放っている。
その柔らかな曲線、しなやかな膨らみ。
その全てが俺を魅了し、同時に侵してはならない
神聖なもののようにさえ思えた。
俺も衣服を脱ぎ捨て、
裸身で彼女の隣に横たわった。
熱い肌が触れ合った瞬間、
全身に電撃が走ったような衝撃が突き抜ける。
「りこさん……温かいね」
「しゅうたも……」
彼女は俺の胸に顔を埋めた。
俺はその背中を優しく撫で、
首筋から腰のくびれへと指を滑らせる。
彼女の体が敏感に跳ねた。
「んっ……ぁ……」
静寂を破る甘い吐息。
その声を聞いた途端、
俺の中の情動が昂ぶった。
彼女の柔らかな肌を、
確かめるように愛撫する。
太ももの内側、腹部、
そして胸の膨らみに触れたとき、
彼女は大きく震え、声を漏らした。
「……しゅうた……」
その響きは、切なさと悦びが
混じり合った、甘美な旋律のようだった。
俺はもう、衝動を抑えられなかった。
彼女を覆うように重なり、
再び唇を奪った。
今度はより深く、互いの熱を
希求するような口付け。
彼女もまた、俺の熱に応えるように
激しく求めてきた。
濡れた音が響き、甘い吐息が交錯する。
彼女の首筋、鎖骨、
そして柔らかな胸へと愛撫を移していく。
肌からは、官能的な香りが漂っていた。
敏感な場所に舌先が触れた瞬間、
彼女の体は弓なりに反った。
「あ……っ!」
甲高い声が耳元で弾け、
俺の理性を完全に奪い去った。
俺の愛撫に、彼女は
何度も震え、甘い声を漏らした。
「しゅうた……やぁ……っ」
その全てが俺を狂わせる。
俺はさらに下へと降りていき、
彼女の全身を口付けで埋め尽くした。
肌と肌が擦れる音、高まる鼓動、
そして部屋を満たす熱気。
「あ……そこ……」
震える声に促され、俺の指先は
彼女の核心へと向かった。
しっとりと熱を帯びた場所に触れた瞬間、
彼女の体が硬直する。
そこは既に、俺を受け入れる準備を終えていた。
指先を忍ばせると、温かな密が溢れ、
彼女の腰が小さく揺れる。
「んぁっ……! ふぅ……っ」
指を動かすたび、彼女から漏れる声が
熱を増していく。
その反応に、俺の昂ぶりも限界に達していた。
「りこさん……いいかな」
震える声で尋ねると、彼女は潤んだ瞳で
俺を見上げ、小さく頷いた。
ゆっくりと、しかし確実に、
俺は彼女の中へと入り込んでいった。
狭く、そして驚くほど熱い場所。
自分の一部が彼女と一体化していく感覚に、
全身の血が沸騰する。
「っ……! おおきい……っ」
「大丈夫……?」
汗を滲ませながら見つめると、
彼女は俺の背中に回した手に力を込め、
強く求めてきた。
「……きて……修太……」
その言葉に、俺はもう迷わなかった。
腰を動かし始めると、
ぬるりと肌が擦れる音が部屋に響き渡る。
「ぁ……っ……ふぅ……!」
彼女の声が次第に熱を帯び、
俺の動きに合わせて積極的に応えてくる。
「もっと……もっと……しゅうた……!」
促されるまま、俺は速度を上げた。
激しく、深く、彼女の最奥を突き上げる。
「ああっ……! ひぃ……っ!」
彼女の声が絶叫に近い悦びへと変わる。
ベッドが軋み、肌が打ち合う音が
二人の旋律を奏でた。
「りこさん……っ! 最高だよ……!」
全身を突き抜ける快感に
意識が遠のきそうになる。
彼女の奥が俺を強く締め付けた。
「イク……っ、中に……出して……!」
彼女の体が大きく痙攣し、
絶叫とともに熱く波打った。
「りこさんっ!!」
俺も同時に、己のすべてを
彼女の奥深くへと解き放った。
熱い奔流が流れ込む感触に、
全身の力が抜けていく。
彼女の体の上で荒い呼吸を繰り返し、
汗に濡れた肌を密着させたまま離れられなかった。
二人の間には、濃厚な熱と甘い香りが漂っていた。
「しゅうた……」
蕩けるような声に、俺は彼女の髪を
優しく撫で、額に口付けた。
「ありがとう、りこさん」
「……もっと……いっぱい愛して……」
彼女の積極的な誘いに、
俺の熱は再び灯った。
彼女は恍惚とした表情で俺の上に跨り、
腰を下ろしていく。
「あ……っ……」
温かな包容力に包まれ、
彼女は自ら動き始めた。
最初はたどたどしく、やがて滑らかに。
その動き一つひとつが俺を煽り、
再び情熱の渦へと引き込んでいく。
「もっと……! しゅうた……!」
突き上げるたび、彼女の体が弾ける。
激しく、深く重なり合う。
「あ……っ、くるっ……きちゃう……!」
瞳を見開いた彼女が絶叫する。
「しゅうた……! 一緒に……一緒がいいの!!」
「いくよ……りこさん!」
二人の命が同時に弾け、
俺は再び彼女の中にすべてを注ぎ込んだ。
彼女の奥が俺を飲み込むように強く、
強く締め付ける。
しばらくの間、二人は何も言わず、
重なり合う心臓の音だけを聞いていた。
汗で湿ったシーツ、部屋を満たす余韻。
俺は彼女の目尻に浮かんだ涙をそっと指先で拭った。
「ありがとう、りこさん」
「……ううん、私の方こそ……」
彼女ははにかむように微笑んだ。
そこにはもう、以前のような
怯えは微塵もなかった。
翌朝、カーテンの隙間から
差し込む朝日が彼女を照らしていた。
穏やかな寝顔を見つめながら、
俺はこの人を一生かけて守り抜くと、
静かに、けれど強く心に誓った。
もはや俺たちは単なる同居人ではない。
互いを必要とし、愛し合う、かけがえのない存在だ。
「ねぇ、修太……」
朝食の準備をしながら、
彼女が恥ずかしそうに昨夜の余韻を口にする。
「大好きだよ、りこさん」
「嬉しい……私も」
他愛もない会話の中に宿る新しい親密さ。
俺たちの新しい生活は、
ここから静かに、力強く始まっていくのだ。
大家さん夫婦は、相変わらず
俺たちを温かく見守ってくれていた。
奥さんに会うたび、
「りこさん、最近本当に明るくなったわね。
修太君のおかげね」
と言われるのが、少し照れくさくも誇らしかった。
春が過ぎ、夏が訪れる頃には、
俺たちの生活はすっかり軌道に乗っていた。
りこさんは仕事の時間を増やし、
自立への道を一歩ずつ歩み始めていた。
俺も学業とアルバイトに追われる多忙な日々を
過ごしていたが、部屋に帰れば彼女が待っている。
その事実だけで、どんな疲れも癒やされた。
ある日の帰り道、並んで歩いていた彼女が
不意に俺の服の裾を掴んだ。
どうしたのかと顔を向けると、
彼女は少し不安げな瞳で俺を見上げていた。
「ねぇ、修太……私、
あなたの傍にいて、本当にいいのかな……?」
その言葉の裏にある微かな迷いに、俺の胸は痛んだ。
離婚が成立したとはいえ、
彼女の心にはまだ過去の傷跡が
残っているのかもしれない。
「りこさん、何を言ってるんだ。
いいも何も、俺が望んだことだよ」
俺は彼女の手を取り、力強く握りしめた。
「でも……」
「迷惑なんかじゃない。むしろ、りこさんがいてくれるから、
俺は毎日を頑張れるんだ。俺にとって、
君はかけがえのない支えなんだよ。
俺には、りこさんが必要なんだ」
それは偽らざる本心だった。
彼女がそばにいてくれるだけで、
モノトーンだった日常が鮮やかに彩られていく。
俺の言葉に安心したのか、彼女の瞳から
不安が消え、深い情愛の色へと変わった。
「ありがとう……修太……本当に……」
彼女はそのまま俺の腕の中に収まった。
人通りのある道端で抱きしめ合うのは
少し気恥ずかしかったが、
今は彼女の心を満たしてあげたい気持ちが勝っていた。
その夜、部屋に戻った俺たちは、
自然な流れで再び肌を重ねた。
「修太……」
甘く切なげな声に、
俺は彼女の髪を撫で、優しく口付けた。
「大丈夫だよ」
と囁き、ゆっくりと
彼女の柔らかな体温を確かめていく。
以前の情事はどこか焦燥感や確認の要素を含んでいたが、
今回はもっと穏やかで、深く互いを慈しむような時間だった。
彼女も怯えを見せることなく、積極的に俺を求めてきた。
指先で俺の肌をなぞり、甘い吐息とともに俺の名前を呼ぶ。
「……しゅうた……大好き……」
その一言で、俺の中の
愛おしさが一気に溢れ出した。
彼女の芳香、柔らかな肌の感触、
そして俺を求める声。
そのすべてが、俺を至福の渦へと誘っていく。
俺の昂ぶりは、彼女の最奥で
まるで安住の地を見つけたかのように、
熱く、しっとりと満たされていた。
腰を動かすたび、密やかな熱が
俺を優しく締め付ける。
じっくりと互いの熱量を分かち合う、親密な動き。
「……ん……気持ちいい……しゅうた……」
彼女の声も、以前のような
悲鳴混じりのものではなく、
蕩けるような甘い響きを帯びていた。
恍惚とした表情で快感に身を委ねる
彼女を見ていると、俺の鼓動も激しく高鳴った。
愛おしさと情熱が溶け合い、
部屋の空気は甘く濃密に満たされていく。
「しゅうた……もっと……、私をいっぱい愛して……」
彼女は俺の腰に足を絡め、
より深く密着しようと求めてきた。
その瞬間、彼女の内側が
俺を強く、熱く捉えた。
「りこさん……そんなに求められたら、我慢できない……」
「いいよ……全部、受け止めるから……」
理性が快感に屈した。
俺は己のすべてを、
彼女の奥深くへと熱く解き放った。
「あぁ……熱い……すごい……」
脈打つ鼓動が重なり、
彼女の柔らかな包容力が、
俺の昂ぶりを余すことなく絞り取っていく。
意識が遠のくほどの強烈な一体感。
俺は崩れそうになる意識を
繋ぎ止めるように、彼女に深い接吻を贈った。
彼女も熱心に応え、二人の舌が絡み合う。
心も体も、すっかり彼女に陶酔していた。
今の俺は、彼女なしでは生きていけない。
これから続いていく、
甘く穏やかな日々に、
俺は心から期待を膨らませていた。