恋愛ストーリー

君と歩む道 ~365日のプロポーズ~ 第13章:二人の夢と、小さな命の兆し

里奈と俺の新婚生活は、穏やかで満たされた日々が続いていた。結婚式での感動と、新居での共同生活。一つ一つの出来事が、俺たちの絆をより深く、確かなものにしていった。里奈という存在が、俺の人生に意味を与え、彩りを加えてくれた。もう、あの頃の孤独な日々には、戻れない。戻りたくない。俺は、里奈の存在を、心の底から求めていた。そして、その愛を、永遠に守り続けると、心に強く誓った。二人の未来は、希望に満ちていた

朝、目覚めると、隣には里奈の寝顔があった。柔らかな光が差し込む寝室で、里奈の規則正しい寝息が聞こえる。その寝息を聞いているだけで、俺の心は温かいもので満たされた。里奈は、俺の腕の中にすっぽりと収まり、まるで小動物のように安らかな寝息を立てている。その姿を見るたびに、俺は彼女を守りたいという思いが強くなった。

「ん…康介さん、おはよう」


里奈が、微かに身じろぎ、ゆっくりと目を開けた。その瞳は、まだ眠たげだが、俺の顔を見ると、ふわりと柔らかな笑顔になった。その笑顔は、俺の一日を明るく照らす太陽のようだった。

「おはよう、里奈。良く眠れた?」


俺は、里奈の髪を優しく撫でながら尋ねた。サラサラとした髪の感触が、俺の指先から伝わってくる。

「うん、康介さんの隣だから、ぐっすり眠れたよ。康介さんは?」
「俺もだよ。里奈がいてくれるから、毎日が安らぎで満たされるよ」


俺は、里奈の額にそっとキスをした。その温かさが、俺の心に深く染み渡る。

朝食は、里奈が作ってくれる温かい和食が多かった。湯気の立つ味噌汁、香ばしい焼き魚、そして炊きたての白いご飯。どれも、里奈の家庭的な温かさが伝わってくる料理だった。キッチンからは、出汁の香りが漂い、部屋中が温かい雰囲気に包まれる。


「康介さん、今日は何時に帰れる?何か食べたいものある?」


里奈が、心配そうに俺の顔を覗き込む。

「たぶん、定時で上がれると思う。里奈の作ってくれるものなら何でも美味しいよ」


俺が言うと、里奈は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔を見るたびに、俺の心は温かいもので満たされた。食卓には、温かいコーヒーと、作り立ての卵焼き。里奈が淹れてくれるコーヒーは、いつも特別に美味しく感じられた。

仕事に向かう途中、里奈は駅まで見送りに来てくれた。改札前で、俺は里奈の頭を優しく撫で、その髪の感触を確かめた。


「ありがとう、里奈。行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい、康介さん。気をつけてね。何かあったら、いつでも連絡してね」


里奈は、満面の笑顔で俺を見送ってくれた。その笑顔が、俺の背中を優しく押し、一日を乗り切る活力を与えてくれる。

職場に着くと、いつもの日常がそこにあった。山積みの書類、鳴り響く電話、飛び交う指示。しかし、俺の心は、里奈という存在が中心にあることで、以前のような閉塞感を感じることはなかった。むしろ、里奈との生活を守るため、より一層仕事に打ち込むことができた。休憩時間には、里奈から「お仕事頑張ってる?お昼ご飯食べた?」というメッセージが届いた。その短いメッセージ一つで、俺の心は温かい光に包まれた。

夕方、仕事を終え、急ぎ足でマンションへと向かった。部屋のドアを開けると、キッチンからは香ばしい匂いが漂ってくる。リビングからは、楽しそうなテレビの音が聞こえてきた。里奈が、俺のために夕食を作ってくれているのだ。その事実だけで、俺の心は満たされた。

「ただいま」


俺が声をかけると、里奈はパッと振り返った。その顔には、満面の笑顔が咲き誇っていた。


「おかえりなさい、康介さん!お疲れさま!」


里奈は、小走りで俺の元へと駆け寄り、エプロンのまま抱きついてきた。その温かさが、俺の全身を包み込む。里奈の体温は、俺の心を深く癒してくれる。

その日の夕食は、俺の好物である唐揚げと、里奈が最近凝っているという野菜たっぷりのスープだった。香ばしい匂いが食欲をそそる。


「美味しい。里奈、本当に料理上手だね」


俺が褒めると、里奈は少し照れたように俯いた。


「康介さんが美味しいって言ってくれるのが、一番嬉しいから」


食事をしながら、俺たちは今日の出来事を語り合った。里奈は、俺の仕事の話を真剣に聞いてくれ、時には優しく相槌を打ってくれた。彼女の存在が、俺の心を深く癒してくれる。

食事が終わり、二人でリビングのソファに座った。里奈は、俺の隣に体を寄せ、俺の腕に頭を預けてきた。


「康介さん、今度のお休み、どこに行こうか?」


里奈が、俺の顔を見上げて、そう言った。その瞳は、キラキラと輝いている。

「どこでもいいよ。里奈が行きたいところがいい」


俺は、里奈の髪を優しく撫でながら答えた。里奈と一緒なら、どこへ行っても楽しい。

「んー、じゃあ、新しいカフェに行ってみない?最近オープンしたばかりで、すごくおしゃれなんだって」


里奈が、目を輝かせながら言った。その提案に、俺も少し心が弾んだ。

「いいね!じゃあ、今度の日曜日に行こうか」


俺は、里奈の提案に心から頷いた。里奈と過ごす時間は、俺にとって何よりもかけがえのないものになっていた。

新婚生活が落ち着き、二人の間には、これまで以上に深い信頼と安らぎが生まれた。そんな中、俺たちの間で、自然と「子供」という話題が増えていった。それは、結婚前から漠然と抱いていた夢が、より具体的な形を帯びてきた証だった。

ある日の夜、二人でリビングのソファでテレビを見ていた時のことだ。テレビから、赤ちゃん用品のCMが流れてきた。可愛らしい赤ちゃんが、無邪気に笑っている。里奈は、そのCMをじっと見つめていた。

「康介さん…可愛いね、赤ちゃん」


里奈が、俺の腕に顔を埋めて、そう呟いた。その声は、優しく、そしてどこか切なげだった。

「そうだね。里奈の赤ちゃん、きっと可愛いだろうな」


俺が言うと、里奈は顔を上げて、俺の目を見つめた。その瞳は、期待と、そして少しの不安が入り混じっていた。

「康介さん、私ね、康介さんの子供が欲しい。康介さんに似た、元気な男の子と、私に似た可愛い女の子が欲しいな」


里奈が、そう言って、俺の胸に抱きついてきた。その言葉に、俺の心臓は大きく跳ねた。胸の奥から、温かい感情がこみ上げてくる。俺の子供が、里奈との間に生まれる。その想像だけで、俺の心は満たされた。

「俺もだよ、里奈。里奈との子供が欲しい。二人で、愛情いっぱいに育てよう。きっと、最高の家族になれる」


俺は、里奈の頭を優しく撫でながら、そう答えた。里奈の柔らかな髪が、俺の指の間をすり抜けていく。その感触が、俺の男としての本能を刺激する。

それ以来、俺たちは子育てに関する情報を集めるようになった。育児雑誌を読んだり、子育て経験のある友人から話を聞いたり。里奈は、特に熱心に情報を集めていた。


「康介さん、この抱っこ紐、すごく便利だって!赤ちゃんも快適みたいだよ」
「康介さん、この絵本、すごく人気があるんだって。読み聞かせすると、情緒が豊かになるらしいよ」


里奈が、目を輝かせながら、楽しそうに話してくれる。その姿を見るたびに、俺は里奈が母親になる姿を、鮮明に想像することができた。

二人でベビー用品店にも足を運んだ。色とりどりのベビー服、可愛いおもちゃ、小さな靴。一つ一つの品を手に取るたびに、俺たちの胸は温かい期待で満たされた。


「康介さん、このお洋服、可愛いね!男の子だったら、こんな服着せたいな」


里奈が、小さなベビー服を手に取り、嬉しそうに微笑んだ。

「どれも可愛いな。里奈、きっと良いお母さんになるよ」


俺が言うと、里奈は少し照れたように俯いた。

里奈は、妊娠に向けた体調管理にも気を配るようになった。バランスの取れた食事、適度な運動、そして十分な睡眠。彼女の健康を気遣う姿を見るたびに、俺は里奈の母親になる覚悟を強く感じた。俺もまた、里奈を支えるために、できる限りのことをしようと心に誓った。

俺たちの両親も、孫の誕生を心待ちにしていた。俺の母親は、里奈に「何か困ったことがあったら、いつでも言ってね。私が手伝うから」と、優しく声をかけてくれた。里奈の母親も、定期的に電話で里奈の体調を気遣ってくれていた。家族みんなが、俺たちの新しい家族の誕生を、心から祝福し、楽しみにしているのが伝わってきた。

ある夜、里奈が俺の腕の中で、静かに囁いた。


「康介さん、私、早く康介さんと私の子に会いたいな」


その言葉に、俺の胸は熱くなった。

「俺もだよ、里奈。きっと、最高に可愛い子が生まれてくるよ」


俺は、里奈を強く抱きしめ、その温かい温もりを全身で感じた。

俺たちの夫婦の絆は、日ごとに深まっていった。それは、単なる愛情だけでなく、互いへの深い信頼と、未来を共に築いていくという確固たる意志に支えられていた。夜が更け、俺たちは、疲れた体を寄せ合い、抱きしめ合ったまま、静かに眠りについた。里奈の柔らかな寝息が、俺の耳元で聞こえる。その寝息が、俺の心を安らぎで満たした。

翌朝、目覚めると、隣には安らかな寝顔の里奈がいた。彼女の髪が、枕に散らばり、太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。俺は、そっと手を伸ばし、里奈の頬に触れた。熱を帯びた、滑らかな肌。

「ん…康介さん、おはよう」


里奈が、微かに身じろぎ、ゆっくりと目を開けた。その瞳は、俺の顔を見ると、柔らかな光を帯びた。

「おはよう、里奈」


俺は、里奈の額にそっとキスをした。里奈の頬が、薄く赤く染まる。その反応が、俺にはたまらなく愛おしかった。

この日もまた、俺たちの温かい日常が始まった。二人の間には、夫婦としての揺るぎない絆が築かれ、そして、小さな命への期待が、希望の光となって、二人の未来を明るく照らしていた。俺たちは、これから始まる新たなチャプターを、心待ちにしていた。それは、愛と、希望と、そして無限の可能性に満ちた、二人の新しい物語の始まりだった。

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