濡れた感情と初めての雷鳴
海斗の部屋に通された美央は、ソファに深く腰を下ろした。
温かい室温が凍え切った体にじんわりと染み渡るが、心の震えは止まらなかった。
海斗は何も言わず、ただ心配そうに美央を見つめている。
その静かな眼差しが、美央をさらに追い詰めた。
「あの…ごめんなさい、こんな時間に…」
絞り出すような声だった。海斗は美央の隣にそっと座り、彼女の肩に手を置いた。
「大丈夫ですよ。何か辛いことがあったんですね・・・。ちょっと待ってて。紅茶淹れるよ」
その優しい声と温かい手に触れられた瞬間、美央の張り詰めていた糸がぷつりと切れた。
堰を切ったように涙が溢れ出し、美央は嗚咽を漏らしながら夫との間の出来事を海斗に語った。
子供が欲しいという願いを拒絶されたこと、そして何よりも「女として見てない」と言われた屈辱。
言葉にするたびに、心の傷口が抉られるようだった。
「私に…私に女としての魅力がないから…だから、夫は…」
自分を卑下する美央の言葉に、海斗はたまらず首を横に振った。
「そんなことないです!美央さんは、美人だし、とっても魅力的です!」
そして、気づけば海斗は美央を抱きしめていた。
反射的だった。目の前で涙に濡れる彼女を、ただ慰めたい一心だった。
・・・っ!
突然の抱擁に、美央の呼吸が止まった。
男性に抱きしめられるのは、一体何年ぶりだろう・・・。
夫の温もりすら、遠い記憶になりかけていた。
海斗の、誠実で不慣れな腕の中。それは夫の無関心とは真逆の、純粋な優しさだった。
その温もりが、美央の内に眠っていた何かを揺り起こす。
身体の奥底に、かつて確かに存在したはずの、女としての感覚が蘇ってくる。
それは、忘れ去られていたはずの快美への渇望だった。
涙が少し落ち着いた頃、美央は海斗の胸に顔を埋めたまま、震える声で懇願した。
「海斗くん…。お願い…。今日の事、全部、忘れさせて…」
言葉の意味を理解した海斗は、驚きと戸惑いで固まった。
女性を抱くということが、彼にとってどれほど遠い世界の出来事であるか。
まして、目の前の美央は、彼が密かに尊敬し、少しずつ心を寄せ始めていた女性だ。
「でも…、僕は…その…」
海斗が口ごもるのを聞いて、美央は海斗の腕の中で顔を上げた。
潤んだ瞳で、海斗を真っ直ぐに見つめる。
「大丈夫・・・。私が…私がリードするから・・・」
その言葉に、海斗の心臓が大きく跳ねた。
彼の戸惑いと純粋さが、美央の心をさらに強く突き動かした。
(もう、後戻りはできない・・・。私は女として、もう一度生き返るの・・・)
海斗の部屋の照明が落とされた。
静寂の中、二人の呼吸だけが響く。
美央は、たどたどしく自分の服に触れる海斗の手を取り、優しく導いた。
彼の指先が肌に触れるたびに、微かな電流が走る。
その不慣れな手つきが、かえって美央の身体を興奮させた。
互いの服が取り払われ、肌が触れ合う。
海斗の体温が、美央の冷え切った心と体をゆっくりと溶かしていくようだった。
美央は、海斗の体を愛おしげに撫でさすった。
初めて触れる男性の肌の感触に、海斗の体もまた、震え始めていた。
美央は海斗の手を取り、自身の内なる聖域へと誘う。
海斗の息が、乱れる。童貞である彼にとって、それは未知への、しかし抗いがたい誘いだった。
美央は海斗をベッドへと押し倒し、彼の上に跨がった。
暗闇の中でも、海斗の肉棒が、硬く、そして大きいことが美央には分かった。
カリが高く、逞しいそれは、美央が想像していたよりもずっと立派だった。
「美央さん…」
海斗のか細い声が響く。
「大丈夫…私に、任せて…」
美央は海斗の肉棒を優しく握り、自身の中へとゆっくりと導いた。
ヌチュッ…
湿った音と共に、熱い塊が身体の中に入り込んでくる。
「っ…ぁあ…っ…!!」
海斗から、苦痛とも快感ともつかない声が漏れた。初めての感覚に、海斗の体は硬直する。
美央はゆっくりと腰を動かし始めた。
ギシッ、ギシッとベッドが軋む音が部屋に響く。
一度、一度、海斗が身体の奥深くまで入ってくるたびに、美央の内に強い快感が走った。
身体が、歓びを思い出していく。
「海斗くん…すごい…気持ち、いい…」
それは偽りのない本音だった。
海斗の、童貞ならではのぎこちなさが、かえって美央の身体には新鮮な刺激だった。
そして、海斗もまた、初めての経験に圧倒されていた。
美央の体内の温かさと、締め付けられるような感覚が、彼の全身にしびれるような快感を走らせる。
「あ…あぁ…っ…美央さん…」
理性で押さえつけていた獣が、今、解き放たれたかのようだった。
二人の間には、喘ぎ声と、肌がぶつかり合う生々しい音だけが響く。
ビタン、ビタン…
それは、抑えきれない情熱の表れだった。
童貞喪失の強烈な快感に突き動かされ、海斗は腰の動きを速めた。
美央もそれに応えるように腰を揺らし、海斗を奥深くへと受け入れた。
互いの存在だけを感じ、他の全てを忘れた時間。それは、まさに官能と陶酔の夜だった。
そして、絶頂の波が訪れる。
「あっ…ぁあ…っ…だめ…イクっ…イ・・・イッちゃうよ…!」
美央の甘い悲鳴が部屋に響き渡る。
「あぁ…っ…で・・・出ます…っ…!」
海斗の体から力が抜け、熱い精液の感覚が美央の身体に伝わる。
ドバッ…!ドバドバドバッ…!!
「アァァン…ハゥゥゥ…」
温かい液体が中で流れ出る感覚に、美央は甘い悲鳴を上げた。
クチョ…クチョ…と、名残惜しそうに音が響く。
海斗は美央を強く抱きしめた。
初めての経験に、海斗の心は震えていた。
美央もまた、海斗の腕の中で、女としての自分を取り戻した歓びに満たされていた・・・。
この一夜が、二人の運命を大きく変えることとなる。
この日を境に、美央は海斗の家で家事代行の仕事をこなす傍ら、彼の身体を求める日々を続けることとなるのだった・・・。