体験談

『会いたい』が『触れたい』に変わる時

画面の中で生きる俺、中島悟、27歳。プログラマーという仕事柄、一日中モニターと睨めっこしている。指先で世界中の情報を操れるのに、現実の人間関係はどこか希薄だった。そんな俺が、まさかマッチングアプリで運命の相手と出会うなんて、数ヶ月前の俺に言っても信じないだろう。

「吉川真由」23歳、eスポーツプレイヤー。

プロフィールに並んだその肩書きに、俺は思わず目を止めた。同じ「オンラインの世界で生きる」という共通点。それが、メッセージを送り、彼女からの「いいね」を受け取った、あの瞬間の始まりだった。

メッセージのやり取りは驚くほどスムーズに進んだ。最新のテクノロジーについて、開発中のゲームについて、お互いの「好き」が洪水のように溢れ出す。画面越しの彼女の言葉は、俺の孤独なデジタル世界に鮮やかな色を付けていくようだった。

「さとる君の書くコード、見てみたいなぁ」

「まゆさんのプレイ、いつか生で見たいです」

他愛ないやり取りの中に、確かな熱量があった。夜が更けるのも忘れてチャットする日々。指先がキーボードを打つ音だけが響く部屋なのに、まるで隣に誰かいるような温かさを感じていた。

何度かのメッセージとビデオ通話を経て、俺たちは会うことになった。場所は、最新技術を駆使したVRアミューズメント施設。

「ここなら、お互いの『好き』を共有できるかなって」

真由さんの提案に、俺の胸は高鳴った。画面越しでしか知らない彼女の「生身」に会える。期待と少しの緊張が混じり合う。

待ち合わせ場所で、真由さんはすぐに分かった。ビデオ通話で見ていた通りの、少し癖のある茶色い髪と、画面で見るよりずっと大きな、吸い込まれそうな瞳。白のブラウスにジーンズというシンプルな服装なのに、周りの景色がぼやけて見えるほど、真由さんだけが鮮明に映った。

「さとる君!」

彼女が俺の名前を呼んだ声は、想像していたより少し低くて、それが妙に心地よかった。

「真由さん、会えて嬉しいです」

俺は精一杯の笑顔を作った。間近で見る真由さんは、画面越しには感じ取れなかった、柔らかなオーラを纏っていた。少し緊張した面持ちの真由さんと並んで歩く。たった数メートルの距離なのに、なんだか遠く感じた。

最新のアミューズメント施設は、まさに「非現実」の空間だった。VRゴーグルを装着すると、目の前に広がるのは幻想的な別世界。二人で協力して挑むミッション型のアトラクションを選んだ。ゴーグルの中で、俺たちは戦士となってモンスターと戦い、時には謎を解いた。真由さんの素早い判断力と的確な指示に、俺は驚嘆した。ゲームの世界で培われた彼女の能力が、こんな形で目の当たりにするとは思わなかった。

「危ない、さとる君!」

真由さんの声が響く。俺は迫りくる敵に気を取られ、危うく攻撃を受けそうになった。その時、真由さんが俺の腕を掴み、強く引っ張った。ぐいっと体が引き寄せられ、真由さんの温もりを腕に感じた。

「大丈夫?」

「うん、ありがとう、真由さん」

ゴーグル越しなのに、真由さんの真剣な表情が目に浮かぶようだった。デジタルな仮想空間での出来事なのに、真由さんの小さな手の温もりが、なぜか現実の体温として伝わってきた。

ミッションをクリアし、ゴーグルを外した時、俺たちの顔は汗で少し湿っていた。真由さんの顔が、心なしか紅潮しているように見える。

「はぁ〜、熱中しすぎたね!」

真由さんが笑った。その笑顔は、画面越しで見ていたものよりもずっとずっと魅力的だった。アトラクションの興奮と、真由さんの隣にいるという現実のドキドキが混ざり合い、俺の心臓は早鐘を打っていた。

次に選んだのは、VRシューティングゲーム。今度は敵と対戦するソロプレイだ。真由さんのプレイは、画面で見るよりも迫力があった。華麗な身のこなし、一瞬の判断で敵を仕留める正確なエイム。観戦しているだけの俺も、思わず息を呑んだ。真由さんがゲームに集中する横顔を見つめる。真剣な眼差し、少し開いた唇、そして時折漏れる小さな息遣い。画面の中の「吉川真由」も魅力的だったけれど、目の前にいる「吉川真由」は、それ以上の輝きを放っていた。

ゲームが終わり、真由さんがゴーグルを外した。額にかかった髪を指先で払う仕草が、なぜか俺にはスローモーションに見えた。

「どうだった、さとる君?」

真由さんが俺を見上げた。その瞳には、達成感と、少しの照れが混じっていた。

「すごかった。本当にプロなんだね」

素直な感想が口から出た。真由さんは嬉しそうに微笑んだ。

「喉渇いたね。何か飲もうか」

俺の提案に、真由さんは頷いた。休憩スペースで、二人並んでジュースを飲む。さっきまでのバーチャル空間での興奮とは違う、静かな時間が流れる。真由さんの横顔を盗み見ると、白い肌が照明に照らされて、さらに美しく見えた。長いまつげが伏せられ、何を考えているのだろう。

「さとる君って、いつもそんなに落ち着いてるの?」

真由さんが突然、俺に問いかけた。

「え、そうかな?」

自分ではあまり意識したことがなかった。

「うん。メッセージの時も、なんだか落ち着いてるなって思ってたけど、実際に会ってもそうだなって」

真由さんはストローでジュースをかき混ぜながら続けた。

「でも、アトラクションの時、ちょっと慌ててたでしょ?あ、ごめん、見てたんだ(笑)」

真由さんの言葉に、俺は少し恥ずかしくなった。完璧な自分を見せたかったわけじゃないけど、余裕のない姿を見られるのはやっぱり照れる。

「真由さんこそ、ゲーム中の集中力、すごかったよ。別人みたいだった」

「あはは、よく言われる。ゲームになるとスイッチ入っちゃうんだよね」

真由さんは屈託なく笑った。その笑顔を見ていると、心が軽くなるのを感じた。画面越しで築き上げた関係が、今、現実世界で確かに根を張り始めている。指先で交わしていた言葉たちが、今は声となり、体温となって、俺の中に染み渡る。この温かさが、ずっと続けばいいのに。そう思った。

時間はあっという間に過ぎ、気づけば外は夕暮れ時になっていた。

「もうこんな時間か」

真由さんが少し残念そうな声を出した。

「楽しかったね、さとる君」

その言葉に、俺の胸がキュッと締め付けられた。

「うん、俺もすごく楽しかった。真由さんと一緒だったから」

素直な気持ちを伝えた。真由さんは俺の目を見て、ふわりと微笑んだ。その笑顔は、今日の夕焼けよりもずっと綺麗だった。

駅まで真由さんを送っていく道すがら、俺たちは今日の出来事を振り返った。アトラクションの面白さ、ゲームの難しさ、そしてお互いの意外な一面。他愛ない会話なのに、心地よい沈黙が混ざり合う。初めて会った時の緊張は、もうほとんどなかった。隣を歩く真由さんの肩に、触れてみてもいいだろうか。一瞬、そんな衝動に駆られたけれど、俺は自分の左手を強く握りしめた。まだ、その時じゃない。

駅の改札で、真由さんが立ち止まった。

「今日は本当にありがとう、さとる君。すごく楽しかった」

「俺もだよ、真由さん。気を付けて帰ってね」

次に会う約束はまだしていない。でも、この関係をここで終わらせたくない。

「あのさ、真由さん」

俺は意を決して切り出した。

「もしよかったら、また近いうちに会えないかな?」

真由さんの顔が、少しだけ明るくなった気がした。

「うん、会いたい!私もまたさとる君に会いたいなって思ってたんだ」

真由さんの言葉に、俺の心臓はまたしても大きく跳ね上がった。

「よかった…!じゃあ、また連絡するね」

「うん!待ってる」

真由さんが改札を通り抜けていく。その小さな背中が見えなくなるまで、俺はその場に立ち尽くしていた。手に残るのは、アトラクションで腕を掴まれた時の、あの温もりの残像。画面越しの関係から始まった俺たちの物語は、今、確かに現実世界へと一歩を踏み出した。この先に待っている未来が、どんな展開を見せるのか。期待に胸を膨らませながら、俺は家路についた。この物語は、まだ始まったばかりだ。

真由さんと次に会う約束を取り付けるのは、驚くほど簡単だった。

俺からの「また近いうちに会えない?」というメッセージに、真由さんはすぐに「うん!会いたい!」と返信をくれた。画面に表示されたその二文字を見た時、俺の部屋なのに、太陽の光が差し込んだみたいにパッと明るくなった気がした。次にどこへ行こうか、何を話そうか。考え始めただけで、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。

二回目のデートは、少し落ち着いた雰囲気のカフェを選んだ。騒がしい場所より、ゆっくりと話せる空間がいいと思ったからだ。待ち合わせの時間より少し早く着いて、真由さんを待つ。カフェの窓から外を眺めていると、行き交う人々が皆、それぞれの物語を生きているのが見えた。俺の物語は今、真由さんという新しい登場人物を迎えて、大きく動き出そうとしている。

真由さんがカフェに入ってきた時、俺は思わず息を呑んだ。今日の真由さんは、淡いブルーのワンピースを着ていた。普段のカジュアルな服装とはまた違う雰囲気で、まるで雑誌から抜け出してきたモデルみたいだった。真由さんが俺を見つけて、小さく手を振る。その仕草一つ一つが、俺の目に焼き付く。

「さとる君、待った?」少し早足で駆け寄ってきた真由さんの頬は、僅かに上気していた。

「ううん、俺も今来たとこ。今日のワンピース、すごく似合ってるね」

自然と口から褒め言葉が出た。真由さんは

「え、本当?ありがとう!」

と嬉しそうに微笑んだ。その笑顔を見ただけで、俺は今日一日、真由さんと一緒にいられる幸せを噛み締めた。

カフェで話したのは、仕事のこと、子供の頃の夢、好きな音楽や映画。オンラインではあまり深く話さなかったプライベートな部分に触れるたび、真由さんとの距離が縮まっていくのを感じた。真由さんの話を聞いていると、eスポーツプレイヤーとしての華やかな一面だけでなく、繊細で努力家な彼女の素顔が見えてくる。

「試合の前は、いつもすごく緊張するんだ。手汗びっしょりになっちゃって」

真由さんが少し照れくさそうに話すのを聞いて、俺は意外に思った。画面の中の彼女は、いつも冷静で力強いプレイを見せているからだ。

「でも、一度ゲームが始まっちゃうと、もう何も考えられないくらい集中するの。その感覚が、たまらなく好きで」

夢を語る真由さんの目は、キラキラと輝いていた。その輝きを見ていると、俺も自分の仕事に対する情熱を改めて感じることができた。

俺も自分の仕事について話した。プログラマーとして、新しいシステムを開発する時の苦労や、それが完成した時の達成感。真由さんは俺の話を、目を輝かせながら聞いてくれた。

「すごいね、さとる君!私には想像もできない世界だよ」

「真由さんの世界だって、俺には想像できないくらいすごいよ」

お互いの世界を認め合い、尊敬し合う。そんな関係が、少しずつ築かれていくのを感じた。

カフェを出て、二人で街を散策した。他愛ない話をしながら歩く。真由さんが隣にいるというだけで、見慣れた街並みが違って見えた。風が真由さんの髪を揺らし、太陽の光が彼女の横顔を照らす。その全てが、俺の目に愛おしく映った。

歩道橋の上から街を見下ろした時、真由さんがふと立ち止まった。

「ねぇ、さとる君。夜景、綺麗だね」

真由さんが指差す方を見ると、オレンジ色の街灯が暖かく灯り、夜空とのコントラストが美しかった。真由さんの横顔が、街の光に照らされて幻想的に見える。その瞬間、俺は真由さんの肩にそっと手を伸ばしたい衝動に駆られた。しかし、またしてもその衝動を抑え込んだ。まだ、早い。

三回目のデートは、少しだけ雰囲気を変えて、夜景の綺麗なレストランを選んだ。予約した窓際の席から見える街の光は、宝石を散りばめたように輝いていた。真由さんは、今日のデートのために少しお洒落をしてきてくれたのだろう。黒のシンプルなドレスに、小ぶりのネックレス。それが、真由さんの白い肌によく映えていた。

食事をしながら、俺たちはさらに深い話をした。家族のこと、将来のこと、そして、お互いの恋愛観。真由さんが真剣な表情で自分の気持ちを話してくれるたび、俺の中の真由さんへの気持ちは、ただの「気になる人」から、もっと大切な存在へと変わっていくのを感じた。

「私ね、オンラインの世界も好きだけど、やっぱりこういう、顔を見て、声を聞いて話せる時間も大切だなって思うようになったんだ」

真由さんがグラスを傾けながら言った。

「特に、さとる君と会うようになってから」

その言葉に、俺の心臓がドクンと音を立てた。真由さんも同じように感じていた。それが、何よりも嬉しかった。

食事が終わり、デザートを待つ間、テーブルの上に置かれた真由さんの手に、俺は自然と目を奪われた。細くて、少し長めの指。その指が、かつて俺の腕を掴んでくれた。あの時の温もりが、鮮やかに蘇る。

「ねぇ、さとる君」真由さんが俺の名前を呼んだ。顔を上げると、真由さんの瞳が俺を真っ直ぐに見つめていた。その瞳の中に、俺だけが映っている。吸い込まれそうな、強い引力を感じた。

「あのさ…」

真由さんが少し俯いた。

「私…さとる君のこと、もっと知りたいなって思う」

その言葉に、俺の体の中に熱が駆け巡る。もう、抑えきれない。俺は、テーブル越しに真由さんの手にそっと自分の手を重ねた。真由さんの指先が、ピクリと動いた。少し冷たい、でも柔らかい感触。

「俺もだよ、真由さん」

俺は真由さんの目をしっかりと見つめて答えた。

「真由さんのこと、もっと知りたい。…もっと、触れたい」

正直すぎる言葉かもしれない。でも、もう嘘はつけなかった。真由さんの頬が、みるみるうちに赤く染まっていく。重ねた俺の手に、真由さんの指が絡められた。強く、でも遠慮がちに。

その瞬間、街の喧騒も、レストランのざわめきも、全てが遠ざかった。俺たちの間に流れる、密やかで、それでいて情熱的な空気。テーブルの上に重ねられた二つの手だけが、まるで世界で一番大切なもののように見えた。真由さんの指先から伝わる微かな震えが、彼女の緊張と、そして、俺と同じくらいの熱量を伝えてくる。

デザートが運ばれてきても、俺たちはしばらく手を繋いだままだった。チョコレートケーキの甘い香りよりも、真由さんの手から伝わる体温の方が、ずっと俺の心を蕩けさせた。この温もりを、もっと感じたい。指先だけでなく、全身で。

レストランを出て、少しだけ夜の街を歩いた。昼間とは違う、しっとりとした空気が肌を撫でる。真由さんと肩が触れ合うたびに、電流が走ったような感覚に襲われる。さっきまで繋いでいた手の感触が、まだ指先に残っている。

真由さんのマンションの前まで来た時、別れがたい気持ちが込み上げてきた。

「今日は、本当にありがとう。すごく楽しかった」

真由さんが、少し名残惜しそうに言った。

「俺もだよ、真由さん」

見上げる真由さんの顔が、暗闇の中でもはっきりと見える。ライトに照らされた真由さんの瞳が、潤んでいるように見えた。その瞳に吸い寄せられるように、俺は真由さんに顔を近づけた。真由さんも、ゆっくりと瞳を閉じる。

そして、俺たちは唇を重ねた。

柔らかくて、温かい感触。真由さんの唇は、想像していたよりもずっと甘かった。初めてのキス。オンラインの世界で言葉を交わし、現実の世界で心を通わせた俺たちが、今、体温を分け合っている。時間が止まったような、永遠にも思えるキスだった。

唇が離れた後、真由さんは少しだけ息を切らしていた。頬はさっきよりも赤く染まり、瞳は潤んでいる。

「さとる君…」

真由さんが、俺の名前を呼んだ。その声は、甘く震えていた。

「真由さん…」

俺も真由さんの名前を呼ぶのが精一杯だった。高鳴る心臓の音だけが、俺の耳に響く。初めて触れた真由さんの温もり。それが、俺の中の理性を溶かしていく。もっと、この温もりを感じたい。もっと、真由さんに触れたい。

夜風が、二人の間を通り過ぎていく。しかし、俺たちの心と体の距離は、もう止められないところまで来ていた。

真由さんのマンションの前で交わしたキスは、俺の中の全てを変えた。唇に残る真由さんの体温と、甘く震えるその声。

「さとる君…」

その響きだけで、俺の全身が熱を帯びるのを感じた。もう、引き返すことはできない。理性なんて、跡形もなく吹き飛んでいた。

真由さんも同じ気持ちでいる。それが、手に取るように分かった。潤んだ瞳、上気した頬。そして、じっと俺を見つめる、その熱い視線。

「真由さん…」

俺は真由さんの名前を呼び、そのまま一歩、彼女に近づいた。迷いはなかった。真由さんは、俺の接近を拒まない。むしろ、吸い寄せられるように俺の方へ体を寄せた。

「…部屋、入る?」

俺の問いかけに、真由さんは小さく頷いた。その仕草だけで、全てが伝わった。マンションのエントランスを抜け、エレベーターに乗り込む。狭い空間に二人きり。先ほどのキスの余韻と、これから起こるであろう出来事への期待と緊張が、肌と肌の触れ合いそうな距離で混ざり合う。エレベーターが上昇するにつれて、俺の心臓の音も速くなっていく。真由さんの呼吸も、少しだけ荒くなっているのが分かる。

真由さんの部屋に入った瞬間、ふわりと甘い香りが俺を包んだ。真由さん自身の香りなのか、それとも部屋の芳香剤の香りなのか。どちらにしても、その香りは俺の心を落ち着かせると同時に、さらなる興奮を掻き立てた。

「なんもない部屋だけど…どうぞ」真由さんが少し恥ずかしそうに言った。一人暮らしの部屋は、真由さんらしくシンプルだけど、可愛らしい小物がいくつか置いてある。壁にはeスポーツ関連のポスターやグッズが飾られていた。この部屋が、真由さんの「現実」なんだ。

ドアを閉めると、世界は俺と真由さんだけになった。先ほどのキスで乱れた真由さんの髪を、俺はそっと指で梳いた。シルクのような滑らかな感触。真由さんが俺の指に頬を寄せる。その温かさに、俺の体はさらに熱くなった。

「真由さん…」

俺はもう一度、彼女の名前を呼んだ。そして、真由さんの顔を両手で優しく包み込んだ。小さな顔。柔らかい肌。そのまま、再び唇を重ねた。今度のキスは、さっきよりもずっと深く、情熱的だった。お互いの唇が求め合い、舌が絡み合う。オンラインの世界では決して味わえなかった、生身の人間同士の触れ合い。その快感が、全身を駆け巡る。

キスをしながら、俺はゆっくりと真由さんを抱き寄せた。華奢な体。でも、その奥には強い意志と情熱を秘めている。真由さんの腕が、俺の首に回された。背中に回された真由さんの指先が、優しく、しかし確実に俺の服を掴む。

キスを解いて、俺は真由さんの顔を見つめた。熱っぽく潤んだ瞳が、俺を見つめ返している。

「さとる君…」

真由さんの声が、甘くとろけている。

俺は真由さんの肩に手を置き、ゆっくりとドレスのファスナーに指をかけた。真由さんは、抵抗しない。ただ、じっと俺の目を見つめている。ファスナーを下ろしていくたびに、真由さんの白い肌が現れる。その滑らかな肌に触れたい衝動が、止められなかった。

ドレスが肩から滑り落ち、真由さんの華奢な体が露わになる。下着姿の真由さんは、まるで絵画のように美しかった。恥ずかしそうに伏せられた長いまつげ、そして、小さく上下する胸。その全てが、俺の理性を奪い去る。

俺は真由さんを抱き上げ、寝室へと向かった。真由さんは俺の首にしがみつき、顔を俺の肩に埋めている。体から伝わる真由さんの温もり。それは、俺にとって何よりも心地よいものだった。

ベッドに真由さんを横たえると、真由さんは少しだけ不安そうな表情を見せた。

「真由さん…大丈夫だよ」

俺は優しく声をかけ、真由さんの頬にキスをした。真由さんは俺の目を見て、小さく頷いた。不安の中に、確かな信頼の色が見えた。それが、俺をさらに強く突き動かした。

一つ一つ、ゆっくりと真由さんの下着を外していく。そのたびに、真由さんの白い肌がさらに露わになり、俺の心臓は狂ったように鳴り響く。恥ずかしさからか、真由さんの体は微かに震えていた。その震えを、俺は唇で、指先で、優しく受け止める。

真由さんの柔らかな肌に触れる。腰に手を回し、体を密着させる。お互いの肌と肌が触れ合った瞬間、強烈な快感が全身を駆け巡った。真由さんが小さく息を呑む音が聞こえる。

「さとる君…」

真由さんの声が、俺の耳元で甘く響く。その声に導かれるように、俺は真由さんの体をゆっくりと撫で上げた。細い腰、滑らかな背中、そして、柔らかい胸。その全てが、俺の手の中に収まる感触。真由さんの体温が、俺の指先から、手のひらから、全身へと伝わってくる。

真由さんも、俺の体に触れてくる。俺の髪を撫で、背中を優しく掻く。その一つ一つの仕草が、俺の愛しさを募らせた。オンラインの世界では決して知ることのできなかった、真由さんの体の感触。そして、真由さんの体から伝わる、俺への情熱。

俺は真由さんの顔を見つめ、そして、ゆっくりと体を重ねた。真由さんが、俺を迎え入れるように少しだけ腰を上げる。その瞬間、俺たちの体は一つになった。

熱い、そして、どこまでも心地よい感触。真由さんの体は、俺の体を包み込むように柔らかかった。お互いの呼吸が乱れ、熱が上昇していく。真由さんの指が、俺の背中を強く掻く。その小さな痛みが、俺の快感をさらに増幅させる。

「んっ…さとる君…!」

真由さんの喘ぎ声が、甘く響く。その声に導かれるように、俺はさらに深く、真由さんの体の中へと進んでいった。オンラインの世界で言葉を交わし、現実世界で心を通わせた俺たちが、今、一つの体となって愛し合っている。

体と体がぶつかり合う音、喘ぎ声、そして、お互いを呼ぶ声。その全てが、俺たちだけの世界を作り上げていく。デジタルな画面越しでは決して感じることのできなかった、人間同士の剥き出しの愛。その激しさと、そして、奥底にある温かさ。

やがて、俺たちの体は同時に頂点へと駆け上がった。真由さんが俺の背中に爪を立て、甘い悲鳴のような声を上げた。俺もまた、真由さんの体の中で、全ての力を出し尽くした。

体と体が離れても、お互いの温もりは消えない。乱れた呼吸を整えながら、俺は真由さんの体を抱きしめた。真由さんも、俺の胸に顔を埋め、安心したように体を預けてくる。

「さとる君…」

真由さんが、か細い声で俺の名前を呼んだ。

「私…」

「うん」

俺は真由さんの髪を優しく撫でながら応えた。

「真由さん」

言葉はもう必要なかった。お互いの体温、肌の感触、そして、穏やかな呼吸。それが、俺たちの間に確かな絆が生まれたことを物語っていた。オンラインの世界で出会い、現実の世界で心を通わせ、そして、体で愛し合った俺たち。これは、デジタルとリアルが融合して生まれた、新しい時代のラブストーリーなのかもしれない。

真由さんの柔らかい体を抱きしめながら、俺は目を閉じた。この温もりを、もう二度と手放したくない。俺たちの物語は、今、最高の形で結ばれた。そして、これから、もっともっと深く、彩り豊かになっていくのだろう。

俺の胸の中で眠りについた真由さんの寝息を聞きながら、俺は満ち足りた気持ちで夜を過ごした。

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